米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関して防衛省が埋め立て予定地の海底地盤の安定性を分析する際、より安定していないことを示す調査結果の一部を除外していたことが21日、分かった。地質学や土木工学の有識者らでつくる「沖縄辺野古調査団」(代表・立石雅昭新潟大学名誉教授)の検証で明らかになった。調査団は「自らに都合の悪い事実を恣意(しい)的に排除し(新基地建設は)安全だという方向に結論を操作している」と指摘している。
防衛省は水面下90メートルまで軟弱地盤が存在するとされる地点について、実測値ではなく、別の3地点から推定して水面下70メートルより深い地点は「非常に硬い」と説明してきた。今回データの除外が問題となっているのは、その参考とされた3地点のうちの一つ。
2019年1月の地盤改良に関する防衛省の報告書と、防衛省が設置した有識者の技術検討会への提出資料を見比べると、地盤が弱いことを示す12個のデータが検討から外れている。調査団によると、これらのデータを検討に含めた場合、現行の分析結果より地盤の安定性が低下することになる。
防衛省はデータを検討から除外した理由について「別の分析方法で得たデータと比べ著しく過小」「土の粒子の密度が大きい」などと説明している。調査団は「これらの判断理由は主観的であり、客観的な基準で判断したものではない」と述べている。
調査団は週明けにも検証を基に防衛省の技術検討会に質問状を送る。防衛省が地盤改良工事で新基地の安定性が保てると説明していることの矛盾を追及する。
調査団はこれまでにも防衛省の調査で70メートルより深い地点でも地盤が軟弱であることを示すデータがあったことを発見した。調査団は新たに見つかったデータに基づき「護岸倒壊の恐れがある」と分析している。 (明真南斗)