県内でも患者の確認が相次ぐ新型コロナウイルス感染症。県の定めた医療提供体制では、発生早期の第1段階は軽症重症問わず、患者を感染症指定病院で外来、入院対応することになっている。だが、病床数が限られる中、1週間に3人の感染者が発生するなど、病院の受け入れ体制は県の想定よりも早く段階を引き上げる分岐点に差し掛かっている。
国内の感染確認を受け、県が1月29日に開いた「新型コロナウイルス対策緊急専門家会議」。県と医療関係者は、患者数の増加に応じて受け入れ医療機関の体制を4段階に分けて拡充していくことを確認した。
県内の感染症指定病院は6カ所で対応病床数は計24床。現在患者が発生している本島南部地域では、県立南部医療センター・こども医療センターと琉球大学付属病院が各6床ずつを提供している。だが、南部医療センターは6床のうち2床は小児専用で、現在の3患者発生で既に満床に近い状態だ。一方、八重山は3床、宮古3床の配置で地域ごとでの対応になる。
第2段階は、指定病院の受け入れ可能患者数を超えた場合、協力病院で外来、入院診療を始める。第1段階からの移行は各圏域の保健所長が判断する。関係者は「第1段階は封じ込めが目的だが患者数が増えると重症化防止へと狙いが変わる。その切り替えが難しい判断だ」と頭を悩ませる。
3人目の患者は一般病院を受診し入院3日後に検査で感染に気付いた。本来は指定病院に転院させるところだが、入院中の病院を協力病院と位置付けて入院措置を続けている。
一方、県は疑い例に合致しなくても主治医の判断でウイルス検査をする運用を進めている。3人目の患者は感染が疑われる行動歴がなかったものの、原因不明の肺炎を理由に主治医が検査を求めた。
県衛生環境研究所の検査能力は1日当たり20検体。那覇検疫所は6検体を検査可能という。琉大病院も検査設備を有している。ただ3人目の事例を受けて今後感染者の急増が予想される中、民間機関の活用も含めた検査態勢の拡充も急務となる。(謝花史哲)