「誰かに助けられることは恥ずかしいことじゃない」 元非行少年、今は若者の自立を支援するNPOの理事長がこう語るワケ


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講話をした金城隆也さん(左)と県立伊良部高校の鈴木潤三教諭=7日、伊良部高校(鈴木潤三教諭提供)

 【宮古島】県立伊良部高校で7日、同校の2、3年生に向けた「先輩に学ぶ進路講話」が開かれた。講話は豊見城市で若者と地域とのつながりをつくり自立を支援するNPO法人「あきづ」の金城隆也理事長(29)が務め「誰もが、助けられて生きていく」と題して行われた。

 講話は同校の鈴木潤三教諭が10年前に豊見城南高校で金城さんの担任を務めていたことが縁で実現した。昨年5月20日付本紙記事をきっかけに金城さんの現在の活躍を知ったという鈴木教諭は「彼から教えられたことや学ぶことはとても多かった」と教え子の成長を喜んだ。講話を終えた後、金城さんは「鈴木先生に成長した姿を見せることができ、感謝の気持ちを伝えられてよかった」と話した。

 金城さんは家族や友人、学校での数々のエピソードを交えながら、複雑な家庭環境で育ったことや高校を中退した経緯、その後に入学した豊見城南高校での先生との出会いなどを語った。時には非行に走りながらも青年会や近所の大人たちに見守られ、助けられてきた経験を振り返った。

 金城さん自身が地域の人に助けられてきた経験があったからこそ、地域や家庭、学校から孤立しがちな若者を支援する「あきづ」の活動につながっていることから金城さんは「誰かに『助けられる』ということは恥ずかしいことじゃない。その経験は次に自分が誰かを助けることにつながる」と話し、「誰もが助けられることで生きている。だからこそ助け合いのバトンをどんどん次につないでいける」と生徒たちに語り掛けた。