【東京】辺野古新基地建設を巡る県民投票で反対多数の民意が示されて24日で1年がたち、県民投票を提起し賛否双方の対話を呼び掛けた県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(28)は、反対の民意が出ても辺野古の工事が止まらない現状に「投票結果が尊重されているとは言いがたい。民主主義はあるのか。国や本土の人に投票結果を訴え続けないといけない」と強調した。県民投票の意義と今後について聞いた。
―県民投票とは何だったのか。
「選挙だといろいろな争点があり、裁判所は選挙で民意は示されたと認定していなかったので、『辺野古』の民意を出す意味があった。さらに友人や家族、職場ででも辺野古の問題に向き合うきっかけをつくれたらいいと思った」
「県の埋め立て承認の再撤回に有効だとの法学者の意見もあり自分もそう思うが、今後、投票結果がどう使われていくのか議論があり、軽々しくは言えない」
―対話は醸成されたか。
「辺野古の問題は25年。分断され互いに違う主張だけし合う、そんな場面しか僕たちは見てきていない。投票に向けて反対と容認の立場とでシンポジウム形式で言葉を交わした。話しづらいと考えていた状況を結果としてほぐすことができたのではないか」
―反対多数の投票結果でも国は工事を止めない。
「結果で工事を中止し県や米国と協議し直すのが筋だが、残念ながらそうなっていない。香港や韓国のように民衆の立ち上がりが無い。この国の民主主義という価値観は何を大事にしたいのか。沖縄として今後どうしていくのか考えていかないといけない」
―本土の人々をどう見ているか。
「県外でよく講演に呼ばれるが、耳障りのいい話だけでなく、今まで沖縄の連帯に頑張ってきた人もいるが、まだ埋め立てが続く状況に、今まで何をしてきたのか考え直さないといけないのではと話している。沖縄に来て座り込みに参加してもらうのもありがたいが、それぞれ地元の議会へ全国で議論すべきだと求める陳情や請願提出の取り組みをしてほしいと伝えている」
「現状にむなしさや悲しさ、怒りもあるが、今まで沖縄の民意を尊重しない政権をつくってきてしまった人がいるのは確かだ。『政権が悪い』というだけではなく、そこに責任があるのだと気づいて行動してもらうことに注力したい」
―今後の展開については。
「24日に音楽祭を開催するが、2・24を忘れない日にしたい。沖縄は独自の文化やアイデンティティーがあるが、沖縄とは何かという共通の認識を見つけたい。一つは沖縄戦から導き出せると思う。基地問題が沖縄全体で考えられるものになっているのは、沖縄戦があるからだ。教育も大事。そういったことを話し合ったり、勉強したりできる拠点のような場所が東京でできたらいい」
(聞き手 滝本匠)