「日中、子どもをどうする?」 新型コロナで臨時休校 首相の急な要請に働く親たちが不安に 県教委も対応追われ


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 「休みはいつまで? 卒業式は?」。新型コロナウイルスによる肺炎拡大防止のため、安倍晋三首相が3月2日以降の臨時休校を全国の小中高校に要請したことで、学校現場や保護者の間では急な休校に不安が広がっている。懸念されていた3月4、5日の高校入試は予定通り実施される見込みで、安心する声もあった。

 浦添市内のある中学校校長は「受験生を万全の体制で入試に送り出すことが、中学校としては最も重要なことだった。予定通りということでその部分は安心だ」と胸をなで下ろした。

 一方、中学校で3月7、8日、小学校で中旬に予定している卒業式は開催できるか分からず懸念が高まる。「卒業式はやらせてあげたいが、“国難”なので臨時休校は理解できる」と頭を悩ませる。那覇市、浦添市は28日に校長らが集まって協議する予定があり「そこで話し合うことになると思うが、県教委の通知を見ないと何とも言えない」と述べた。

 共働きが多い県内では、小さい子どもを1人で家に残したままにできるかという不安も残る。小中学校のPTAが加盟する県PTA連合会の下地イツ子会長は「休校することで子どもへの感染リスクを減らせる。その判断は理解できる」とする半面、「本土の大手企業などはテレワークもあるが、中小企業が多い県内ではそれも望めない。小学生の親は日中不在にすることに対する不安がとても強いと思う」と語った。

 また、「春休みまでとはいつまで休みなのか。そのまま新学期に入るのか」と、休校となる期間が分からないことへの不安も口にした。

教育長、対策会議中に首相要請を聞く

 

 安倍晋三首相の臨時休校要請を受けた県教育委員会は27日、幹部が夜間から臨時会議を開くなど対応に追われた。

 安倍首相の臨時休校要請のニュースが流れたのは午後7時前。その時、平敷昭人県教育長は県が開く新型コロナウイルス対策会議に出席していた。会議中に県教育庁幹部が入室し、平敷教育長に情報を伝えた。

 会議後、平敷教育長は県庁内にある教育長室に移動し、課長クラスを集めて臨時に会議を実施。臨時休校した場合の影響や、3月4、5日の県立高校入試が予定通り実施できるかどうかについて検討を進めた。

 教育長室での会議後、平敷教育長は再び対策会議に戻りブリーフィングに出席。その場で安倍首相の要請通りに県立学校を休校とすることや市町村教委にも休校を要請することを記者団に説明した。

 その間も教育庁内では入試に関係する幹部らが会議室で話し合いを重ねた。県立学校教育課の職員が九州各県の対応を電話で確認する作業を続けた。小中学校を所管する義務教育課には入試対応を心配する保護者からの問い合わせの電話もあった。