カーラジオから行方不明者情報 あれ、今目の前を通ったのは… 車をUターンさせ保護


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宜野湾署の照屋隆署長(右)から感謝状を受け取った岩崎公典さん(左)とエフエム沖縄の長濱弘忠常務(中央)=26日、宜野湾署

 沖縄県与那原町東浜で行方不明になっていた40代男性=宜野湾市=が、同町在住の岩崎公典さん(48)と息子の正直さん(12)によって無事発見、保護された。宜野湾署は26日、行方不明者の情報提供を呼び掛けたエフエム沖縄と、岩崎さんに感謝状を贈った。「偶然にもラジオから流れた特徴を聞いて分かった」と、岩崎さんは目の前で重なった偶然に仰天したと話した。

 4日午後6時ごろ、宜野湾市我如古の自宅から外出した男性の行方が分からなくなった。家族や警察が捜索に当たっていたが翌5日も見つからず、県警は同日午後、男性には持病があり緊急性が高いと判断、県内のラジオ局に男性の情報提供を呼び掛ける放送を依頼した。

 琉球大学准教授の岩崎さんは5日午後6時半ごろ、車で息子と帰宅途中に足を引きずり、交差点を渡る男性を信号待ちの間、見ていた。横断歩道を渡りきった男性を横目に車を発進させた後、行方不明者の捜索の情報がラジオから流れた。岩崎さんは「あまりにもタイミングが合致して驚いた」。放送内容と男性の特徴が酷似していたことから岩崎さんは車をUターンさせ男性に声を掛けた。

 「ラジオで宜野湾市の人という話だったので与那原にいるわけないと思った。普段から子どもたちには困っている人がいれば手を差し伸べるように伝えてきたので見逃すわけにはいかなかった」。岩崎さんは氏名を聞き行方不明の男性と確認、警察に引き継いだ。

 宜野湾署によると、発見の一報を聞いた男性の家族は電話先で「万歳」と声を上げて喜んだという。

 行方不明者の情報をラジオで流したエフエム沖縄の長濱弘忠常務は「薬服用の観点からも放送の必要性を感じた。災害時や緊急時に対応できるよう情報発信をしていきたい」と話した。