一斉休校、企業にしわ寄せ 政府の有給奨励は経営を圧迫 中小企業には厳しく


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 新型コロナウイルスの感染拡大防止で政府が全国の小中高校に臨時休校を要請したことを受け、準備期間が十分ではない中で、県内企業は従業員の休暇取得の対応などに追われた。経済停滞で経営が悪化する中で企業活動に支障が出ることへ不満が漏れるとともに、行政による休業補償など中小企業支援を求める意見も出ている。

 安倍晋三首相は28日の衆院予算委で「経済界にも、有給休暇を取りやすいよう対応してくださいとお願いする」と、保護者の負担軽減のため企業にも協力を要請する考えを示した。これに対し、沖縄ツーリストの東良和会長は「3月以降の経営はもっとひどくなる。企業の有給での対応はおかしい」と疑問を呈した。

 新型肺炎の感染拡大による観光客の減少で旅行業の同社は売り上げが半分に落ち込むなど、企業各社の経営状況は厳しさを増す。その中で、臨時休校のために仕事を休まざるを得ない従業員の人件費を企業が負担するのは、中小企業を中心にさらに経営を圧迫することになるという指摘だ。

 東会長は「週明けは有給で対応するしかないが、シフトが回せなくなり社員がいない時間帯も出てくるだろう。有給取得は平時でやればいいもので、今は緊急事態だ」と、政府による支援策の必要性を強調した。

 県内でホテルを展開するかりゆしは、特別休暇や緊急の休暇制度の設置を検討している。過去に災害などの風評被害で客が減少した際には、希望する社員に最低1カ月、最大3カ月の休みを取れるようにし、給料の60%を保障して対応したことがある。今回も制度を一部応用して実施することを視野に入れる。

 担当者は「特別休暇を設置するのがベストだと思う。有給休暇の日数不足で無給になってしまうことや、(緊急事態のために)有給が減るのが嫌だという問題もある」と話した。

 那覇市の人材派遣企業では企業内保育所の保育士3人が、自分の子どもを見るために急きょ3月2日から休むことになった。小さな子を持つ親は、すでに子どもの病気時などに有給休暇を消化し、残り日数が少なくなっていることが多いという。

 代表者は「臨時休校中に有給休暇がなくなれば収入減少に直結する。小規模な企業では特別休暇を与えることが難しい所も多い。国や県が補助する仕組みが必要だ」と指摘した。