新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校が県内でも広がる中で、シングルマザーの採用に力を入れるTIER PRECIOUS(ティア・プレシャス、浦添市)は28日に社内会議を開き、子どもを連れて出勤できる体制をとることを確認した。未就学児や小中学生などを持つ社員が多く、仕事の間は会社で子どもを預かるなど、日頃から社員間で子どもを見守る体制がある。ただ、今回の突然の休校決定には不安もある。山里彰社長は「これまで週2日ほど会社で子どもを預かる程度だったが、臨時休校で毎日預かることになる。食事はどうするのかなど不安もある」と話す。
同社はリゾートウエディングに特化したヘアメイクやコーディネート、民泊清掃などの業務を請け負い、現場に社員を派遣する。社員約15人のほとんどが女性で、半数はシングルマザーだ。会議で職員と話し合い、会社で子どもを預かる際の食事は親が準備することや、民泊の清掃業に関しては子どもも現場に同行してもいいと決めた。
山里社長は「経済的に託児所に子どもを預けられない親もいる。困ったときは互いに支え合いたい」と語り、「今回の件を機に、母親にとって働きやすい環境を整えるきっかけになるはずだ」と話した。
対象社員から聞き取り 小売り各社 シフト調整で対応
県外の百貨店などで営業時間の短縮や臨時休業の動きもあるが、県内の小売り各社では今のところ営業時間を変更する商業店舗は見られない。
一方で、スーパーなどは主婦らのパート従業員が多く、高校生のアルバイトがいる店舗もあり、シフト勤務に影響が出ないよう臨時休校で出勤が難しくなる社員の把握や対応策の検討を進めている。
従業員の男性は取材に「特に小学低学年の子どもがいる家庭で、預け先が見つからない事態が出ることを危惧している。高校生のアルバイトを出勤させるのも、感染を防ぐための休校という趣旨に外れないか」と語った。
サンエー(本社・宜野湾市)は、通常でも夏休みなど長期休暇の時期があることを踏まえ、必要に応じて応援態勢を取ることで臨時休校に対応していく考え。担当者は「対象者から聞き取りをしている。状況を把握した上で、週明けに向けて具体的な対応を決定することになる」と説明した。
百貨店やスーパーを運営するリウボウグループ(本社・那覇市)は、安倍首相が臨時休校を要請する方針を発表した27日夜から、従業員の出勤の可否を各売り場で確認している。担当者は「まだ全体の調査が終わっておらず、具体的な対策は決まっていない。結果を見てからどのような対応が必要かを判断する」と述べた。
イオン琉球(本社・南風原町)はシフトの範囲内で調整するなど、現状の勤務計画に沿った形で対応する方針という。