首里城焼け跡VR再現 測量大手パスコ 空撮写真から制作 公開、活用方法を模索


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 那覇市首里当蔵町の首里城正殿などが全焼した火災から2月29日で、4カ月がたった。航空測量大手のパスコ(東京都)は火災翌日の2019年11月1日、県内に偶然に居合わせた社員が空撮した写真を3次元化し、焼失した首里城を仮想現実(VR)で再現した。同社担当者は「県民に見てほしい」と願うが、火災からまだ4カ月しかたっておらず、複雑な思いを抱く人々の反応が気に掛かる。県民感情に配慮しつつ公開方法を模索している。

火災翌日の空撮写真を基に3次元化した首里城=2月26日、那覇市の沖縄総合事務局

 火災翌日、県内にいた同社NewSpaceプロジェクト推進部の榊原庸貴主任技師が、特殊カメラでさまざまな角度から空撮した写真約400枚を立体的に構築した。

 VRゴーグルを使うと生々しい焼け跡を上空から見下ろし、その場にいるかのように地上から見渡すこともできる。

 同社は災害被災地を空撮し、写真やデータを国や自治体に提供し、二次災害の予防や復旧に活用してもらっている。2週間かけて首里城のVRなどを制作した後、県出身の同社社員に見てもらうと、「苦い記憶を思い出す」と思いを述べつつ感謝されたという。

火災翌日の空撮写真を基に3次元化した首里城=2019年11月1日(パスコ提供)

 榊原主任技師は「東京で公開するより、沖縄の人に見てもらわないと意味がない。県民がどう感じるか不安もあるが、首里城公園に展示して、見たい人に見てもらうこともできる」と語った。

 同社の空撮写真やVRは2月26日に開かれた首里城復元に向けた技術検討委員会(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)で委員らに公開された。

(梅田正覚)