遺品に「南瞑会」名簿 パラオの元軍人か県人名も 比嘉さん遺族「返したい」


社会
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 【名護】名護市の比嘉金一さん=1991年に72歳で死去=の遺族がこのほど、「南瞑会」という日本軍のOB会とみられる名簿を見つけた。名簿に金一さん自身の名前はなく、別人から譲り受けたものとみられる。遺族は「持っておくべき人に返したい」と話している。

日本軍出身者で作ったとみられる「南瞑会」の名簿
生前の比嘉金一さん(左)とナエさん=1989年(遺族提供)

 金一さんは19年生まれで、名護市屋部出身。戦前に日本の統治下にあったパラオに渡り、主要都市のコロールで理髪店を経営していた。妻のナエさん=98年に76歳で死去=とパラオで出会い、8人の子どもをもうけた。戦後に名護に戻ってからも「比金理容館」を経営した。

 名簿の冒頭に記されている会則によると、会は「独立歩兵第330大隊」と「独立守備歩兵第12大隊」の元軍人で構成されている。名簿には複数の県出身者の氏名と住所が記されているが、金一さんの名前はない。

 名簿は今年1月に長女のスレクター比嘉タカ子さん(78)=米アイオワ州在住=が見つけた。タカ子さんが米国に持って帰った遺品の箱の中に入っていたという。パラオ生まれのタカ子さんは「明るくて、すごい父だった」と振り返る。名簿は名護に住む次女の東恩納政子さん(70)が預かっている。問い合わせは政子さんまで。(電話)090(9782)0506。