米軍返還跡地の汚染発覚、今後も同様のケースの発生も… 法制度の不備放置が起因 河村雅美氏


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 問題が発生してから10年目にして被害者への補償の道筋がついた。このような問題が発生するのは、米軍基地跡地の引き渡し後に問題が発生した場合の法整備がされていないことが一つの原因である。2012年に施行された跡地利用特措法は土地の浄化について政府の責任を明確化したが、同法施行前に返還された土地は対象にならない。

 13年の沖縄市のサッカー場汚染問題、16年に発覚した読谷村補助飛行場跡地汚染の問題があったにもかかわらず、この法・制度の不備は放置されている。同法成立以前は返還跡地全体の全面調査も実施されておらず、今後もこのような問題が発生する可能性は高い。

 問題が発覚しても解決の道筋が不明確なため、被害者の通報や申し入れのハードルは高くなる。市町村側の負担も重く、北谷町の例でも汚染が米軍由来であることを町が日本政府に証明しなければならなかった。

 ただし、北谷町にも問題がないわけではない。町は基地跡地返還後に発覚した汚染の問題を国に訴えてきた一方、基地跡地を個人と等価交換する場合には、隠れた瑕疵(かし)には北谷町は責を負わないという契約書を交わしていたことを示す文書もある。その点は追及する必要があるだろう。

 今回の事例は跡地の問題が環境や健康問題として認識される以前の問題をどう解決していくか、全県的に共有して考える問題であり、政治的な決着で終わらせる問題ではない。ゆえに北谷町は個人のプライバシーは保護しつつ、透明性を担保し説明責任を果たす必要があろう。地権者が安心して住居をその地に構えたいという願いがかなわなかったのはなぜなのか、この救済策は適当であったのか検証しなければならない。

 お互いの顔の見える地域の中で、一地権者や住民が声を上げて問題を外に出すことは難しいことだったはずである。行政、議会、市民はその声に応える責任があるだろう。