新型コロナウイルスの感染拡大が続く韓国で訓練していた在沖米海兵隊の兵士約100人が2月29日までに、日本側の検疫なしに沖縄県内の米軍施設に帰還していたことが2日、分かった。沖縄県の謝花喜一郎副知事が米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリコプターが鉄製の訓練用標的を読谷村沖の海上に落とした問題で2日、県庁に呼び出した川村裕外務省沖縄担当大使と田中利則沖縄防衛局長に確認したことから明かになった。謝花副知事は両氏に「大変不安に思っている。感染防止措置をしっかりお願いしたい」と詳しい情報提供を求めた。
これに対して田中局長は「(帰還者に)在韓米軍の関係者は含まれていない。感染者が多く発生している韓国大邱の周辺で訓練していたわけではなく、近辺に立ち寄ってもいない」と説明。その上で「韓国を出る前と沖縄に着いた後、一定期間、隔離した上でメディカルチェック(健康観察)を行うといった厳重な措置を講じている」と強調した。
謝花副知事は「(海兵隊員との)濃厚接触などで沖縄の基地従業員が感染するようなことがあってはいけない」と指摘。さらに「本来は国内法で検疫をしっかりしてから入国させるが、日米地位協定が壁となって(米軍関係者には)できないようになっている」とし、地位協定の改定を検討するよう訴えた。
米軍ヘリからの物体投下について、謝花副知事は「一歩間違えば県民の生命・財産に被害を与えかねず極めて遺憾だ」と述べ、原因究明と再発防止に加え読谷村でのつり下げ輸送を中止するよう米軍に働き掛けることを求めた。田中局長と川村大使は米軍に対して安全管理の徹底を求める方針を示したが、中止を働きかけることには同意しなかった。【琉球新報電子版】