専門家チーム「辺野古新基地予定地の科学的な審査を」 政府の技術検討会に質問状


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名護市辺野古の新基地建設について防衛省の計画の問題点を説明する立石雅昭新潟大学名誉教授(中央)ら=2日、県庁記者クラブ

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設予定地に広がる軟弱地盤について、政府の計画を独自に検証している専門家チーム「沖縄辺野古調査団」(代表・立石雅昭新潟大学名誉教授)は2日、沖縄防衛局が設置している有識者らの「技術検討会」に対して「科学的・技術的に厳正審査してほしい」と申し入れた。その上で技術検討会の審議の問題点を挙げ回答を求めた。

 この日、沖縄県政記者クラブで会見を開いた立石氏は、水面下約90メートルまで軟弱地盤が達する地点「B27」について、防衛省が70メートルより下は「非常に硬い」と説明していることに「なぜそう言えるのか」と疑問を呈した。

 防衛省が引用する地盤工学会の分類に当てはめると、地盤の強さを示す「N値」が15以上なければ「非常に硬い」とは言えない。調査団は防衛省の調査報告書を基に、N値10以下が水面下90メートル付近まで続いていることを指摘した。特に85メートル付近までは4~7程度となっており、「柔らかい」「中位」に分類されるという。

 調査団は防衛省が地点「B27」について強度を求める調査をしたのに設計に反映させず技術検討会に示していないことや、別の地点で地盤が弱いことを示す一部データを不採用にしていたことも問題視し、質問書で追及している。

 立石氏が嘉手納町の沖縄防衛局を訪れて申し入れ書と質問書を提出し、技術検討会に伝達するよう求めた。防衛局の西村拓局次長は「これから内容を確認し対応していく」と述べるにとどめ、技術検討会に渡すかどうか明言しなかった。調査については「これまで実施したボーリング調査などで十分だ」と述べた。