新型コロナウイルスの感染拡大が県内企業の経営に影響を与え、売り上げが激減する観光業では従業員の雇用調整も出始めている。沖縄労働局によると、2月14日に特別相談窓口を開設してから2月28日までに、助成金制度や休業などに関する問い合わせが延べ133件あった。観光関係者は「危機的状況だ」と一様に悲愴(ひそう)感を漂わせ、経営が持ちこたえられるのか悩みが深まっている。
那覇市内のホテルは3月の客室稼働率が30%台に落ち込む見込みで、レストランや宴会場の予約もほとんど無くなった。
ホテル運営に見合う収入がない中で、レストランは予約が入っていない日は休業にし、ルームサービスは停止するなど従業員の業務を減らして残業代を節約している。
さらに、有給休暇を消化させる形で社員を休ませており、代表者は「赤字で非常に厳しい状況だが、社員のモチベーションを落とす人員削減だけはしない。厳しいが耐えるしかない」と話した。
沖縄労働局は、中国人観光客の宿泊が無くなった旅館・ホテルや観光バス会社、旅行会社などを対象に、雇用調整助成金の特例措置を行うことを発表している。雇用調整助成金は、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業や出向を行い雇用の維持を図った場合に、休業手当や賃金などの一部を助成する。
労働局の特別相談窓口に問い合わせがあった133件のうち、業種別に最も多いのは旅行業の23件で、観光バスやタクシーなどの旅客運送業が22件、宿泊業が14件、飲食業が11件となっている。労働者からも7件の問い合わせがあった。