何週間前から調整してきたのに… 五輪代表入り目指す選手に悔しさにじむ 新型コロナ拡大で大会の中止・延期


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 東京五輪の開幕まで残り5カ月を切る中、新型コロナウイルスの感染拡大により予選などの延期・中止が相次ぎ、代表入りを目指す県勢アスリートにも困惑が広がっている。大会中に関係者の感染が発覚し、選手が検査対象となる事例もある。減量や体づくりで何週間も前から大会に照準を合わせて調整しているだけに、悔しさも募らせる。

 重量挙げでは2月28日に韓国で開幕予定だった東アジア選手権が、現地渡航前日に延期が決定。今も開催の見通しは立っていない。

 男子61キロ級に出場予定だった糸数陽一(警視庁)は「ピークに合わせ、調子も良かっただけに挑戦したかった。もう少し決定が早ければ減量も抑えられた」と悔しさをにじませる。それでも「五輪がなくなったわけじゃない。いつ出てもいい結果が出せるよう、臨機応変に対応するしかない」と気持ちを切り替える。

 直前の練習で「完璧な状態だった」という女子76キロ級の神谷歩(金沢学院大職)は「練習に気持ちが乗らなくなった」と声を落とす。五輪出場の条件で4月までに指定された6大会以上に出場する必要があるが、まだ4大会にとどまる。東アジア選手権の開催いかんでは4月のアジア選手権を含め、別の大会への出場が必要となる可能性もあり「重量を定期的に挙げ、いつでも出られるようにする」と調整に苦心する。

 各国で開催される自転車ロードレースでは、新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が参戦した2月のUAEツアーでイタリアチームの感染が発覚。残り日程が中止となり、新城ら選手全員が隔離され、検査対象となる事態となった。

 内間康平(チーム右京)も深刻な影響にさらされている。2月下旬に中国での大会が延期になり、今月10日に開幕予定だったフィリピンでのレースも中止に。代表選考は大会で得たポイントが基準となるため「他国で開催されたレースに出場した選手に差を付けられている」という。沖縄を拠点に練習を続け「今後のレースで成績を残すしかない」と気合を入れ直す。

 陸上の男子1600メートルリレーで代表入りを狙う木村淳(大阪ガス)は、今季初戦の県春季記録会が中止に。20、21の両日にオーストラリアでの試合が直近の大会となるが開催されるかは分かっていない。いつ試合に出ても結果を残せるよう「練習中から試合の強度を入れていく」とコンディション維持を心掛ける。

 女子ソフトボール日本代表は読谷村で予定していた今月の第10次国内強化合宿を取りやめた。今月末にも東京五輪の登録選手が決まるため、選手たちにとっては最後のアピールの場だった。1~2月のオーストラリアとグアムでの強化合宿に参加した洲鎌夏子(豊田自動織機)は「これまでの合宿での結果も悪くなかった。アピールはしっかりできた。どんな結果でも納得できる」と朗報を待つ。

 中国でのレスリングのアジア予選はキルギスに開催場所が変更となったあとに中止に。グレコローマンスタイル77キロ級の屋比久翔平(ALSOK)が出場予定だったが、二転三転する状況が続く。
(長嶺真輝、喜屋武研伍)