虐待、ネグレクト、自傷行為…「長期間休むと命に関わる」 学校、気になる子の登校促す 臨時休校で「課題ある家庭」のリスク高まる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
イメージ写真

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休校中の学校関係者や児童福祉関係者から、家庭の困窮で食生活に不安がある生徒や、精神的に不安定な生徒など問題を抱えた生徒が長期間休むことに懸念の声が上がっている。民生委員・児童委員に集団活動を自粛するよう申し入れた自治体もあり、子どもの見守り活動に支障が出ている。

 県内のある中学校は数人の生徒に休校中も登校するよう促した。校長は「登校してもらうのは、ご飯がちゃんと食べられているか心配な生徒や、自傷行為のある生徒。学校で様子を見ないと不安でしょうがない」と理由を説明。「長期間休むと命に関わる。同じような心配をしている学校は多いはずだ」と語った。

 「突然の休校は虐待やネグレクトなど、課題のある親子のリスクを高めるだけだ」と憤るのは、児童養護施設に勤める30代の女性。女性は子どもの頃、親から暴力を受け、食事も与えられないなどの虐待を受けた経験がある。「私は空腹に耐えられなくて、同じような状況の友達と一緒に万引をした。休校で給食を食べられない子どもたちは、今どうしているのか」と心配する。

 弁当作りや送迎など、突然の対応を強いられて保護者のストレスがたまる恐れも指摘し「普段より家庭のリスクが上がり、虐待につながる、または悪化する可能性が高い。誰も何も準備できないまま休校要請をした政府の対応は全く理解できない」と話した。

 沖縄市では、市や市社会福祉協議会から民生委員・児童委員らに集団活動を自粛するよう申し入れがあり、研修や定例会などの中止が相次いでいるという。活動は団体ではなく各地域の民生委員・児童委員に委ねられている。市民生委員児童委員協議会事務局長の石原イカリさん(46)は「子どもたちの見守りは個人の活動に限られている状況だ。春休みに入る時期でもあり、不安を感じている」と危機感を示した。