沖縄県内で感染が確認された3人の濃厚接触者として県が順次続けてきた計43人の健康観察は現時点で症状がないことから3日で終了した。県内で最後に感染が確認された2月20日から今月5日で2週間が経過し、県は「一区切り」は付いたとみる。ただ、県外では感染が拡大し、県内3例目の農業男性に関しては感染経路が不明のままだ。県は警戒を緩めず「対策を徹底し活動自粛を理解してほしい」と呼び掛け、ウイルス検査態勢の拡充へ準備を急ぐ。検査は、発生初期のころから国が示す疑い例に合致しなくても主治医が必要と判断した場合に実施しており、今後も原因不明で似た症状は検査する姿勢だ。
国が定義する「感染が疑われる患者」は、(1)感染者と濃厚接触し発熱やせきなどの呼吸器症状がある人(2)37・5度以上の発熱と呼吸器症状があり発症前14日以内に世界保健機関(WHO)公表の流行地域に渡航歴などがある人(3)「(2)」との濃厚接触者(4)発熱、呼吸器症状、感染症を疑わせるような症状のうち集中治療が必要で、さらに医師が直ちに特定の感染症と診断することができないとして判定を要する人―となっている。
「要観察例」
国の定義に該当する人は保健所と相談し検査の必要性を判断する。一方、県は早くから水面下での広がりを懸念し、主治医の判断を重視する柔軟な検査を進めてきた。実際に5日までに判定した患者141人のうち、129人が「疑い例」ではなく「要観察例」として検査した。
今後の受診行動としては発熱など症状がある場合、まず自宅で様子を見て倦怠(けんたい)感や呼吸器症状など従来の風邪症状と違うと感じた時に「かかりつけ医と事前に相談し診療してほしい」と呼び掛ける。ただ、懸念があっても無症状者は検査を受け付けない方針は変わらない。県は「これまでに検査拒否はない」との認識だ。
感染リスク
県内で最後に感染が確認された2月20日から2週間が経過し、県の糸数公保健衛生統括監は「一区切りは付いた」と表現する。検査は1日18人分(2検体ずつ)が可能な中、県内では容量を超える検体が持ち込まれた日はほぼない。
県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩医師も「現時点で地域的流行が沖縄では起きていない」と分析する。ただ内外から渡航者が沖縄を訪れる限り、新型コロナ感染者の発生リスクはあるとしたほか「発見されないまま軽快していることもあり得る」と注意を向ける。
さらに県は3例目の農業男性について、どこから入ってきたか分からない軽症者から感染したとみており、市中で感染しながら軽症のため病院を受診していないことも考えられると警戒する。今後も県民一人一人の衛生・健康管理や、発熱後の理性的な行動が終息への鍵となりそうだ。
(謝花史哲)