「今は痛みに耐えるしか…」 入国制限強化で危機感が増す沖縄の経済界


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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が中国や韓国からの入国制限強化に踏み切ったことに、県内の観光関係者は外国客のさらなる減少に危機感を募らせた。物流が停滞している輸入業や製造業などからは、沖縄と中国、韓国との直航便がいつ再開となるか見通せず、ビジネス面への影響が長期化することへの危機感が高まっている。政府関係者は「海外から地方へ直接入るルートが減る。沖縄経済への影響は大きいだろう」と分析し、26日に控えた那覇空港第2滑走路の利用開始にも影を落とす。

 雑貨などの観光土産品販売を手掛ける那覇市の企業では、中国の複数箇所の工場から製品を仕入れていた。新型コロナ感染が広がった1月から仕入れが止まっているという。中韓からの入国者が規制されることに「製造の再開を交渉するための行き来は厳しくなってしまう」と先行きを懸念した。

 観光客向けの食品などを卸売りする業者は、感染拡大の前に多くの食品を仕入れたため品薄にはなっていないが、観光客の急減で売り上げが落ち込んだという。「国内客もインバウンドもそろって減ったので、需要が一気になくなった。賞味期限が切れて廃棄した食品もある」と説明し、早期の終息を願った。

 中国、韓国からの入国制限強化の措置について、全国旅行業協会県支部の崎山喜孝支部長は「海外からの団体客がキャンセルされているのに、個人客まで沖縄に来なくなってしまう」と指摘する。旅行業界を取り巻く環境は厳しさを増しており「今は痛みに耐えるしかない。終息後に観光客を呼び込むため、国や県が一体となったプロモーション活動が重要になる」と強調した。

 日本旅行業協会沖縄支部の與座嘉博支部長は「中国と韓国は大事なパートナーだ。直通便がなくなることは痛手になる」と不安視した。感染防止策の遅れが影響を深刻化させる要因になったことも考えられ、「早い段階で厳しい措置をやっていれば(旅行キャンセルなど)被害は広がらなかったはずだ」と指摘した。

 国際便の減便・運休が続く中で、香港を含む中国、韓国の路線が成田と関空に限定されると、沖縄発着の国際便は1年前に比べて4分の1の規模にまで縮小することになる。那覇空港第2滑走路の利用開始で観光客数のさらなる伸びが期待されていただけに、政府関係者は「タイミングが悪い」と語った。