「ホテルから注文来ない」 青果物の卸売業にも新型コロナの影響が


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ホテルに納品する野菜を運び出す卸売業者。通常の半分ほどの量しかない=6日、那覇市港町の兼正青果

 新型コロナウイルスの感染防止による影響で、県内ホテルや飲食店に客足が遠のく中、外食向けに青果物を販売する卸売業者も苦戦している。ランチの休業や宴会、会合の自粛で、卸売業者は「ホテルから注文が来ない」と漏らす。外食向けの供給が減少する一方で、外出を控えた消費者が家庭で食事を取ることが増える反動から、県内スーパーなどへの供給は増加しているという。

 ホテルやレストラン、居酒屋を中心に県内200社に野菜や果物を販売している兼正青果(那覇市)は、売り上げが通常の3~4割にまで落ち込んでいる。新型肺炎の影響で県民が外食を控える傾向があるといい、ホテルへの配送トラックの荷台には通常の半分ほどしか青果物が積まれていなかった。

 ただ、家庭で食事をする人が増えたことに伴い、スーパーなどの量販店、共同販売向けの売り上げは2割増になっている。臨時休校に伴い、子どもの弁当に入れるミニトマトの需要も伸びているという。古波蔵正紀常務は「苦戦はしつつも、青果は動いている」と話す。

 沖縄協同青果の担当者は「平均単価にまだ影響はないが、ホテル関係の注文キャンセルがあるため徐々に影響が出てくるだろう」との見方を示し、需要の減少で青果物の相場が値崩れする可能性もある。協同青果は家庭消費の需要増を見込んで積極的に量販店に販売を促し、ピーマンなどの県産野菜を県外に発送しているという。