各地で広がる昼食の無料提供 新型コロナ 臨時休校で


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 新型コロナウイルス感染拡大を受けて小中学校が臨時休校となる中、県内各地で昼食無償提供の取り組みが進んでいる。浦添市は市内の小学校での提供を開始。那覇市や本部町では地域の人々を中心に支援の輪が広がる。昼食提供を受けた子どもたちは、温かな気持ちと昼食で心も体も満たされた。

持参した空の弁当箱に教員から食事を受け取る児童=6日、浦添市内の小学校

◆小学校で2000人分用意 浦添市内

 新型コロナウイルス感染拡大防止のための臨時休校実施を受けた浦添市内の小学校や学童クラブ、児童センターを利用する児童を対象とした昼食の無償提供が6日、同市の各小学校で始まった。13日まで実施予定で、1日当たり2千人に対応できる量を用意する。

 6日正午すぎ。市内の小学校では、登校した10人と周辺の学童クラブに通う児童に昼食が用意された。学童クラブ職員らがお湯で炊ける備蓄米約200人分とハンバーグ、ふりかけを受け取りに訪れた。

 小学校の教室では、持参した空の弁当箱に食事を受け取る児童の姿も見られた。教職員の「なるべく離れて座ろう」との呼び掛けで席に着いた児童らは口数も少なく、“静かな給食”の時間となった。児童からは「いつもの給食の方がおいしい。雰囲気がなくてさみしいな」との声も聞こえた。

 休校4日目での提供開始について、学校関係者らは「平等性の観点から個別の周知は難しい」としつつ、「本当に支援が必要な子に事前に周知できなかったことが心苦しい。休校前に決まっていれば、一斉に周知できたのだが」と語った。

食事作りを手伝おうと、もやしの根取りをする児童ら=6日、本部町の渡久地区第一公民館

◆地域住民協力 共に食事作り 本部・渡久地

 【本部】小中学校の臨時休校中の共働き家庭などを支援しようと、本部町の渡久地区第一公民館では住民らがボランティアで子どもたちに食事を振る舞っている。住民や地元企業などが食材を無償で提供するなど、地域が協力し合い子どもたちを支援する輪が広がっている。

 6日、公民館内のキッチンに地域の有志で結成した「おせっ会」のメンバーら約10人が集った。この日のメニューは、提供のあった野菜や肉、豆腐を使った豚汁とフーチャンプルー。子どもたちは、もやしの根取りや食器拭きなどを手伝い「いただきます」の元気なあいさつとともに笑顔で食事を頬張った。

 町立本部小4年の知念優夏さん(10)は「みんなで作った食事はおいしかった」と笑顔。料理を提供した渡久地邦子さんは「多くの人から食材を提供いただき感謝している」と話した。

 同公民館では平日午前10時半~午後1時、食事を提供する。13日まで。中曽根義人区長は「この活動が他地域にも広がり、子どもたちの支援につながってほしい」と語った。

ちねんや~のスタッフから弁当を受け取る学童保育の子どもたち=6日、那覇市泉崎の同店

◆弁当100個 自宅待機児に 那覇の居酒屋

 新型コロナウイルス感染防止のため子ども食堂などの「子どもの居場所」が一部休止していることを受け、那覇市泉崎の居酒屋「ちねんや~」が6日、自宅待機する子どもたちへの弁当の無償提供を始めた=写真。9日からは、困窮しながらも子どもの居場所とつながっていない子どもたちに、市の児童自立支援員らが最寄りの居場所でちねんや~の弁当を受け取るよう促し、居場所とつなげていく取り組みも始める。

 市内には33カ所の子どもの居場所があるが、全域をカバーできていない。支援を必要とする子どもたちを、いかに居場所につなぐかが課題となっている。

 ちねんや~のスタッフは6日、弁当100個を作った。受け取った市内の子ども食堂「のびのび広場」の代表者・与儀長次さんは「子どもたちを感染させるのが怖くて休止したが、食事をどうしようかと悩んでいた」と提供を喜んだ。

 ちねんや~は食材提供を呼び掛けている。

 問い合わせは「ちねんや~」(電話)098(862)8833。