3月の彼岸用として沖縄県産キクの全国市場への出荷シーズンが到来する中、新型コロナウイルス感染症の影響で需要が低迷し、キクの価格が例年より2割程度下落している。「太陽の花」ブランドの県花卉(かき)園芸農業協同組合(宮城重志組合長)は、出荷ピークを迎える3月後半には価格の減少幅は縮小するとみているが、「良くても前年並みに届かないかもしれない」と相場の動向を不安視する。
沖縄は彼岸期の小ギク生産量で全国シェアの9割を占める一大産地だが、新型コロナの影響はキク農家の経営にも及びそうだ。
同組合が今月はじめに出荷した品目ごとの平均単価は大ギクが約45円、小ギクが約24円、スプレーギクが約31円で、前年同期と比べて9~11円の値下がりとなった。
新型コロナの影響で大型イベントの中止や卒業式など学校行事の縮小などが相次ぎ、花卉類の需要が全体的に低調となっており、彼岸用のキクの価格にも影響が出ている。
太陽の花の3月の出荷数量はキク類が前年同期比2%増の19万8千ケース、葉ものなどその他が前年並みの1万ケース、出荷額は同11%増の17億5千万円を見込んでいた。だが、需要が高い3月後半の売れ行きによって予想を下回る可能性がある。
彼岸期に入り船便のほか、9日から貨物専用の臨時航空便による輸送が始まった。宮城組合長は「出荷のピークもこれからなので、そこに期待したい。こういう時期だからこそ彼岸で祖先をお参りし、事態の沈静化を祈ってほしい」と話した。