新型コロナ対策に通学バス無料化、企業支援… 県議会常任委員会で予算案を審議


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 2月定例会中の県議会は9日、文教厚生、総務企画、経済労働、土木環境の4常任委員会を開き、2020年度一般会計当初予算案などについて審査した。


新型コロナ対策は予算活用し推進 総務企画

 総務企画委員会(渡久地修委員長)は総務部、知事公室、公安委員会関係の2020年度予算案について審査した。新型コロナウイルス感染拡大の影響や対策に質疑が集中し、金城弘昌総務部長は「中長期の緊急対策を進めるため、既決予算や補正予算も活用し取り組みを進めたい」と述べた。比嘉瑞己氏(共産)への答弁。

 観光に加えて製造業の育成に力を注ぐべきではないかとの指摘に対し、金城総務部長は「危機感を持って対応しないといけない。今まで以上に財政状況を把握し施策を打っていく」と述べた。宮城一郎氏(社民・社大・結)への答弁。

 財政調整基金、減債基金、県有施設整備基金の3基金から215億円を取り崩して計上した予算編成について見解を問われ、金城総務部長は「県の財政状況は全ての指標が財政健全性の基準を満たしている。堅実な財政運営が行われている」と答えた。

 一括交付金の減額が市町村事業に与える影響について、金城総務部長は「ハード交付金で事業進捗(しんちょく)に遅れが生じている。土木、農林、教育委員会と連携しながら工期を見直さないといけない」と述べた。いずれも花城大輔氏(沖縄・自民)への答弁。

 首里城所有権の経緯について前原正人秘書防災統括監は「正式に県が調べた経緯がない」とし、20年度に県が作成する再建の基本計画で整理する考えを示した。新垣光栄氏(おきなわ)への答弁。

国との重複避けた企業支援 経済労働

 経済労働委員会(瑞慶覧功委員長)では、農林水産部と商工労働部所管の2020年度一般会計予算や特別会計予算などの議案10件を審査した。新型コロナウイルスの影響が県経済にも及んでいることについて県の対応を問う質問が多く上がった。

 嘉数登商工労働部長は、災害などで経営状況が悪化した中小企業などを対象に最大3千万円を融資する県の中小企業セーフティーネット資金制度や、子どもの世話のために仕事を休む保護者に独自の有給休暇を取得させた企業に対し、国が8330円の助成金を支給する制度を導入することを紹介した。

 その上で「国と県でメニューがかぶらないようにしつつ、隙間を埋められるような支援策の導入を検討したい。助成のための手続きの簡素化なども検討したい」などと話した。島袋大氏(沖縄・自民)への答弁。

 各種支援団体に相談が相次ぐ中、業務に当たる職員の体制がひっ迫している状況について嘉数部長は「相談が特に殺到しているのは商工会や商工会議所と聞いている。一時的に態勢を強化できるメニューが作れないか、国にも相談して取り組みたい」と述べた。金城勉氏(公明)への答弁。

中城港中心に自動車の移入 土木環境

 土木環境委員会(新垣清涼委員長)は、中城港湾(新港地区)整備事業特別会計予算などについて審議した。県港湾課の桃原一郎課長は、新車など積荷の移入に関し、那覇港は手狭になっているとして「中城湾港から移入すれば県内の輸送時間や距離が短縮され、輸送費が大幅に低減される。自動車貨物に関しては中城湾港にシフトした物流を行えないか考えている」と今後の展望を説明した。照屋大河氏(社民・社大・結)への答弁。

 また、首里城復元に伴い、元々沖縄側にあった所有権の移転を国に求めるかについて、県は国営公園のため一義的に国が再建の主体となると説明。上原国定土木建築部長は「(所有権移転について国と協議することは)検討していない」と述べた。赤嶺昇氏(おきなわ)への答弁。

 首里城火災の原因は那覇市消防本部や県警の調査で特定できなかったが、玉城謙都市公園課長は、第三者委員会「首里城火災に係る再発防止検討委員会」を設置し、今後、再発防止や防火対策、管理体制の在り方を検証・検討すると説明した。糸洲朝則氏(公明)への答弁。

通学バス無料化、自治体に「命令できない」 文教厚生

 文教厚生委員会(狩俣信子委員長)では、高校生のバス通学無料化と関連し、現在も一部の市町村で導入されている小中学生を対象とした有料スクールバスの無料化について平良昭一氏(おきなわ)が質問した。

 平良氏は「バス通学無料化の知事公約は将来的に全員を対象にすることを考えているはずだ。それなのに義務教育の子どもたちから利用料を徴収してもいいのか」と述べた。

 これに対し平敷昭人県教育長は「基本的に教育委員会は独立しており、市町村でのスクールバス利用料は条例で徴収しているため無料化する命令はできない」とした上で「他の自治体での取り組みを情報提供しながら意見交換をしていきたい」と述べた。