【記者解説】幅広い経済対策示すも詳細は未確定 新型コロナで沖縄県


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 新型コロナウイルスの感染拡大による県民生活や県経済への影響を最小限に抑えるため、玉城デニー知事は企業や県民に向けた県独自の緊急対策を発表した。富川盛武副知事は今回の事態を「(米中枢同時テロに伴い沖縄観光が風評被害を受けた)9・11の大きな落ち込みに匹敵する」と見ており、強い危機感を背景に支援策を進める考えだ。

 一方で、予算規模や支援策の詳細など未確定の要素も多い。県は緊急性などを見極めながら支援策を進める方針だが、観光客の減少やイベント自粛で売り上げが急減する県内企業から、迅速な対応を求める声が上がることも考えられる。

 県が発表した緊急対策には雇用調整助成金の上乗せなど26項目が並ぶ。「県民向け」「企業・生産者向け」「県内経済・観光などの需要回復に向けた中長期的対策」の3分野について、企業の販路拡大や航空路線の維持、県内消費の拡大に向けた施策など幅広い対応を網羅した。

 経営危機に直面する企業への支援など緊急性の高いものに加え、終息後の観光客誘致など中長期的な対策も盛り込まれた。富川副知事は「二段構えで経済対策を取ろうと思う」と強調する。日韓関係の悪化で沖縄を訪れる韓国人観光客が激減していたところへ、新型コロナの感染拡大で外国人客は壊滅的な状況となり、国内客の旅行控えや修学旅行の見合わせも広がっている。売り上げや業務が大幅に減る中でホテル、観光バス会社、小売店の休業や従業員の自宅待機が出始めており、企業や労働者への支援は急務となっている。

 対応が遅れた場合は倒産企業や失業者の増加も懸念される。観光を中心に好調を維持してきた県経済の減退を防ぎ、終息後の回復につなげられるか、県が実施する緊急対策の効果が注目される。
 (平安太一)