性的な嫌がらせ(セクシュアルハラスメント=セクハラ)や性被害の実態を明らかにすることを目的に琉球新報が実施したアンケートでは、回答者513人中、女性が400人、男性は108人、その他が5人だった。年齢は40代(32%)が最も多く、次いで50代(22.6%)、30代(20.1%)、20代(12.7%)だった。513人中、セクハラや痴漢にあったことがある人は、348人(67.8%)だった。
セクハラ被害の内容(複数回答)は「体をさわれた」「性的な行為を要求された」「性的なからかいや冗談を言われた」「体を密着させてきた。密着させるダンスに付き合わされた」などが多い。中には、自宅に子ども向け教材の調査を装った電話があり「どんな洋服を着ているか」など性的なことを聞かれたという回答もあった。
初めて遭った性的な嫌がらせでは、「見知らぬ人から性器を見せられた」「おしりや胸を触られた」という人が最も多い。いわゆる痴漢の被害に遭った場所は、バス、書店、モノレール・電車、エレベーターなどだった。
悪質なケースは、「中学健康診断時に医師から胸を性的に触られた」「水泳の授業で遅刻した子の連帯責任として、クラスの女子全員が水着で男子が体育をしている運動場を走らされた」と学校での被害を訴える記述もあった。加害者が父親のケースもあり、家庭内で被害に遭っている実態もあった。
職場では「会社の余興で下ネタの歌を歌わされた」「お酒の席で、会社で一番若い女2人で取引先の男性を挟んで座るよう指示され、お酌などの相手をさせられた」など、酒の場などでの意に反する性的な言動に悩まされている女性が多いことが浮き彫りとなった。
セクハラの加害者(複数回答)については、職場の「上司」が155件で最も多く、職場の「先輩」(89件)と「後輩」(15件)も含めると「職場の人」が加害者になるケースが259件に上った。一方、痴漢とみられる「見知らぬ人」は216件だった。学校の先生も50件だった。家族が26件、親戚や親類も25件あった。
「どうすればセクハラや痴漢、性的嫌がらせはなくなると思うか」(複数回答)という質問では、「幼少期からの人権教育」が最も多い385件、次いで「男性の意識改革」(345件)、「幼少期から男女平等意識を養う」(333件)、「女性蔑視・女性軽視の風潮をなくす」(332件)、「幼少期からの性教育」(280件)など、幼少からの教育と男性の意識改革を挙げる声が多かった。
「新聞やテレビ、雑誌、ネットなどメディアで女性蔑視とみられる表現をなくす」と、日々の生活の中であふれるメディアの性差別的な表現の根絶を求める声も295件あった。
「罰則強化及び加害者への再教育。男児への幼少からの教育も足りなすぎる。日本は男児を甘やかし過ぎ」「日本の法律や社会が性犯罪に非常に甘いことが問題だと思う。特に同意のない性行為や未成年への性犯罪は厳罰化してほしい」という意見もあった。
少数だが、回答した男性108人中、セクハラの被害に遭ったのは24人で22.2%だった。24人中セクハラ被害を誰かに相談したのは、4人(16.6%)、解決したのは1人。女性で相談したのが43.9%だったのに比べ、男性の場合は被害に遭っても相談する人が圧倒的に少ないことが明らかになった。泣き言を言えない、言いづらいなど男性のあるべき姿に縛られていることが推測される。
◇セクハラや性被害に関するアンケート設問については以下のリンク先でみることができます。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1088437.html