北部基幹病院、引き継ぎ負債は13億円 沖縄県が試算説明 県議会常任委員会で予算案を審議


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 2月定例会中の県議会は10日、文教厚生、総務企画、経済労働、土木環境の4常任委員会を開き、2020年度一般会計当初予算案などについて審査した。

 名護市の県立北部病院と北部地区医師会病院を統合し北部基幹病院を設置する計画を巡り、砂川靖県保健医療部長は10日、県議会の文教厚生委員会(狩俣信子委員長)で、建物整備などに伴う減価償却費の見積もりを前提にしても毎年度の利益は確保できるとの見通しを示した。一方で医師会病院の借入金は統合前の年度で約13億円が残るため、その後の返済計画は引き継ぐことになると説明した。

 砂川部長は3日の県議会一般質問で北部基幹病院の収支について毎年度10億円の剰余金を確保できるとしていた。

 県医療政策課によると、減価償却費は整備総額約221億円で試算。設置後の1~6年目の減価償却費は建物や医療機器整備などで9・4億円前後で推移し、医療機器の償却終了後の7年目から約6・6億円となるという。地方交付税措置なども想定して砂川部長は「赤字になるとは考えていない」と述べた。

 収支シミュレーションでは2026年を統合1年目としているが、北部地区医師会病院の借入金の返済計画は2035年度までで、29年までは毎年度1億5000万円を返済することになっているという。

 比嘉京子氏(社民・社大・結)、平良昭一氏(おきなわ)への答弁。利益確保の見通しに比嘉京子氏は「あまい計算だ」と疑問視した。


沖縄振興計画にSDGsを反映 総務企画委員会

 県議会総務企画委員会は10日、企画部の2020年度予算案について審査した。22年度以降の県の新たな沖縄振興計画について、宮城力企画部長は「SDGs理念を盛り込んだ基本計画をつくった後、実施計画をつくることになる」と述べた。その上で、実施計画の成果指標と数値目標にはSDGsの理念を反映させたい考えを示した。比嘉瑞己氏(共産)への答弁。

 沖縄関係予算の中で一括交付金の減額が続いていることについて、宮城部長は、基本的に22年度以降も一括交付金の存続を国に求めることになるとした上で「計画的な事業の執行を進める上で一定程度の水準を維持するという観点も必要になるので何か工夫ができないか検討したい」と述べた。当山勝利氏(社民・社大・結連合)への答弁。

 那覇空港第2滑走路運用に伴う利用客数や発着数増加への対応として、大嶺寛交通政策課副参事は「現状駐機場は55スポットある中で将来的には80ぐらい必要になる。ターミナルの規模は(延べ床面積で)1・6倍の大きさが必要だという検討結果をまとめる方向だ」と述べ、今後国とも調整を進めたい方針を示した。上原章氏(公明)への答弁。


座間味浄水場の選定地遅れを説明 土木環境委員会

 土木環境委員会(新垣清涼委員長)は環境部、企業局関係の2020年度当初予算など3議案を審査した。企業局関係の審議では、県が整備を予定する座間味浄水場(座間味村)の建設地の選定が遅れていることについて質疑が相次いだ。

 座間味浄水場を巡って企業局は当初、座間味島阿真ビーチ隣接地への建設を予定していたが、津波被害を受けない高台への建設を求める住民の声を受け、高台候補地3カ所の調査を実施し、19年12月に座間味村に各候補地の長所と短所を説明した。

 大城彰建設課長は「村からは高台候補地について都市造成による環境影響、工事中における観光客や道路への影響から、当初候補地が最適との意見があった」とした上で、2月をめどとしていた建設地の選定が遅れている原因については「現在も調整が続いており、その結果住民説明会が遅れている」と説明した。照屋大河氏(社民・社大・結)への答弁。


北部病院、脳神経外科も休診 文教厚生委員会

 文教厚生委員会(狩俣信子委員長)では県内県立病院や診療所、北部基幹病院、新型コロナウイルス感染症対策などについて質問が相次いだ。県病院事業局によると、県立北部病院は2019年から休診している泌尿器科に続き、脳神経外科の常勤医師が3月末で退職し、休診になる見通し。照屋守之氏(沖縄・自民)らに答えた。

 次年度はへき地の診療所整備事業が盛り込まれており、粟国村で診療所の整備を予定している。亀浜玲子氏(社民・社大・結)、西銘純恵氏(共産)への答弁。


万国津梁会議で3議会を新設 経済労働委員会

 経済労働委員会(瑞慶覧功委員長)は10日、2020年度の文化観光スポーツ部当初予算を審議した。新垣健一部長は有識者らで構成する万国津梁(しんりょう)会議について、新年度から「多様な人材の育成」「稼ぐ力」「海外ネットワークの拡大」を議論する会議の設置方針を明らかにした。新たに設置する三つの会議では、人材育成や県内企業の収益向上、海外の県人ネットワークの拡大などを話し合う方針。西銘啓史郎氏(沖縄・自民)への答弁。