性的な嫌がらせ(セクシュアルハラスメント=セクハラ)や性被害の実態を明らかにすることを目的に琉球新報が実施したアンケートでは、セクハラや痴漢にあったことがある人が67.8%に上るなど深刻な実態が浮き彫りとなった。アンケートの自由記述に寄せられたさまざまな声や意見を紹介する。
男尊女卑の意識
「女性は男性の従属物という考えをなくさない限り、セクハラはなくならないと思う。LGBTの人たちの間でも起こり得るが、それも対人関係において上下関係を重視する文化だと、支配する人、される人という構造にならざるを得ないことが原因だと感じる」
「特に男性側に、女性に対して『女らしさ』や『女性らしさ』というものを求めることが普通にあるのではないだろうか?」
「女性の意識もまだ低い。男尊女卑だと気付いてすらいない人も多い。しかし男性の教育が早急に必要」
「イクメンや女医などの根底に男性優位の意識がある単語、議員数の男女のバランス、男性後継ぎや墓守り、お札の肖像の男性優位、学校の名簿など男性名から先に載せることなど、根本的なところから意識を壊して男女平等の意識を当たり前にしたら少しはセクハラもましになると思う」
「女性の人権を認める意識がまだまだ足りない」
「女性は家庭を、男性は仕事をなど男女の役割を見直さなければ、そういった家庭で育っている子どもたちが大きくなっても根本的な社会は変わらないと思う。女性は弱い者、男性は権力を持っているという考え方にもつながっているのではないか」
「日本社会は本当に女性蔑視が根強い。あらゆるところの端々に差別がはびこっている。そもそも人権教育は本当に必要だと思うけれど、では、誰が教育を行うのか? どこから始めたらよいのか? 絶望感ばかりです」
「先進国の中でも著しく女性の立場が軽んじられているこの日本。徹底的な意識改革の必要性を感じる。女性の進出を阻む社会に豊かな国の未来を描けないのではないか」
「男性の意識が低すぎる。昭和の意識のままの人が多すぎる。若い世代も昭和な母親に育てられ、そうなっている。公の教育で意識改革をしないと難しい。現状、中年以上の男性を変えるのは困難だが、その世代が変わらないと日本がこのままになってしまうという危機感がある」
「あまりに日常に溶け込みすぎて、上手にやり過ごすのが『いい女』という風潮は一掃しなければ。次の世代への嫌な連鎖を断ち切るためにと思う」
「いまだに会社で女性を『女の子』という。飲み会で鍋を作るなど、女性に求められることはまだまだ多い」
「下着が見えそうなイラストや体のパーツを不自然に強調したポスターが街中にあふれていれば、それらは全て無意識な女性差別につながると思う」
世の中の人たちの意識を変えて!
「大学生までは今時の日本にセクハラなんてないと思っていたが、就職してからこんなにセクハラが残っているのかと驚いた。それでも周囲の女性に聞くと『これでも改善された方』だそう」
「セクハラは暴力であり人権侵害。セクハラや性差別を無くすには、社会が成熟する必要があると考えます」
「男女関係なく、自分が言われたら傷つくことかどうか、考える意識が必要」
「セクハラというものに世の中の意識が少しずつ向いてきた印象はあるが、人によって大きくバラツキがあり、被害をなくすのは難しいと感じている」
「一人一人が個人の尊厳を大切に考えていくことができるなら、セクハラは起こらないと思う」
「女性の側(被害者)にも問題があったと言われる風潮がそもそも間違っている。加害者側に全面的に非があるという意識が世の中に浸透していってほしい」
「子どもの頃、嫌だなぁと思ったが、誰にも相談しないできた。そういう人がたくさんいると思う」
「『被害者を責めない』『加害者が悪い』ということを社会的な認識にすることが大事」
「昔は笑ってやり過ごしていた。それが得策だと思っていた。大きな間違いだった。今は絶対に許されない。子どもたちに同じ思いはさせないようにしないといけない」
「男性のほとんどがセクハラの自覚がなく平気で人を傷付け、社会の常識のように誤った認識をしている」
「男性が人前で泣くことを容認したら、だいぶセクハラはなくなる」
「国会議員が男性ばかりでは女性蔑視の風潮は変わらない。国から変えなければならない」
「セクハラ自体が日本の文化になっているので、よりセクハラや性差別に敏感な社会を作るといいと思う」
罰則規定を
「男女問わず被害に遭うし、加害者にもなることを皆が共有し、防止する施策を国として法律、罰則規定を徹底させる」
「法の整備とセクハラや性差別を許さない文化の醸成(企業の就業規則含む)の両輪で進めていくことが重要」
「目に見える傷がつかないから、性的嫌がらせは『悪事だ』という認識が薄く感じる。心の傷がその後ずっと残ろうと、他人からは何も見えないからたいしたことがないと思われがち。刑法上で厳罰化され、また教育現場で正しい認識を共有し、悪事だとしっかり認識され、傷付けられる人が減る世の中を望みます」
「幼い子には自分を大切にすることと、嫌と言われたことはしないと教え、学生には自分と相手を尊重する風潮を伝え、セクハラをコミュニケーションと勘違いしている者には罰則を」
「セクハラをしている人はセクハラをしているという意識がなく、何度注意しても反省しないから繰り返すので、罰則が必要」
「日本ではセクハラに対する認識が低く、対応も遅れているので、セクハラを禁止する個別の法律をつくり、それが法に触れる行為であることを社会に対してすべきだと思う。被害者の救済措置を明確にすべき」
「セクハラは犯罪であり、そのセクハラを見て見ぬふりしている周りの人も同罪だと思う」
「セクハラ」の言葉の表現
「カタカナや略称で言われること、また『嫌がらせ』という和訳のために、人権侵害だという認識が行き届いていないように感じる」
「『痴漢』『セクハラ』という言葉でごまかしてほしくない。犯罪」
「『セクハラ』という言葉が被害の実態と合っていないと思う。報道などでは性暴力被害など被害がしっかり伝わる言葉を使った方がいい」
「『セクハラ』と『性犯罪』をごっちゃにするのはいけない。性犯罪に遭った時110番に電話したら『そんなことで電話しないで』と断られた。『ハラスメント』という言葉によって問題を矮小化していませんか」
「『セクハラ』という言葉が軽い行為だという印象を与えている。等しく『性暴力』『性差別』であることを加害者に強く認識させたい」
メディアが助長
「メディアが性差別を助長し、枠にはめたジェンダー観を拡大しているように感じる。無意識の、根深い男尊女卑の意識が女性側にもあることを自覚する必要がある」
「テレビドラマやCMなどの何気ない男女の性的役割分担や性の強調が見られるような表現や内容を積極的に廃絶してほしい」
「仕事場や飲み会の場、テレビのタレントの言動でも、女性が男性の飲み物を用意するなど当たり前にする傾向がある。そんな生活の中の刷り込みから見直していくべき。家のこと、子育て、仕事、全部やるのがいい女みたいな表現は早くやめるべき」
「自分の地位や力(腕力的なことも含む)より弱いものとして女性を見ている男性が大多数だと思う。自分の奥さんや娘さんが被害に遭ったらどうなるのか、想像力の欠如を感じる。メディアも変わってほしい」
幼少時からの教育を
「スカートめくりや浴室ののぞき見など、幼い頃から繰り返し行われてきた(いる)性犯罪を『健全に育っている証拠』『子どもなんだから』と受け入れることを強制されてきた(いる)のは、大きな問題」
「男女ともに日頃から何がセクハラになるのか、相手を傷付けないためにはどう接するべきかなど、考えながら接する習慣を小さな頃からしっかりと教育するべき」
「性に対して隠す傾向にある日本の根本を変える必要がある。オープンに性教育すべき」
「泣き寝入りしなければ就業や自分の立場を守れないことが多い。自分を大切にする教育と、身体は減るものではないだろうとの思い込みを幼少期から見直す必要がある」
「セクハラというと、よく加害者は男性で被害者は女性だと認識されるが、逆のパターンも実は多く存在すると思う」
「悔しいけど、嫌だと声を上げることが必要なんでしょう」
「やった人は気まぐれかもしれないが、された人は絶対忘れない」
【2020年3月12日16時】取り上げた意見の中で一部の職業の方への配慮が足りない記述があったため、削除いたしました。
◇セクハラや性被害に関するアンケート設問については以下のリンク先でみることができます。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1088437.html