ホテル稼働率20%前後、億単位の損失… 観光業中心に想像以上の悪化 海外客特化型では休業も <急転・沖縄経済 新型コロナショック>③


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新型コロナウイルスの影響で休業したホテルアレキサンダーロイヤルリゾート沖縄。正面には立ち入りを禁じるカラーコーンが置かれていた=2日、那覇市港町

 那覇市内で10日に開かれた県経済団体会議の臨時会で、沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事が宿泊業界を取り巻く厳しい状況を報告した。「恩納村、那覇市などでホテル稼働率が20%前後まで下がっている」。新型コロナウイルス感染拡大で観光客が減少し、ホテル稼働率が下落していることは報道などで伝わっていた。しかし、想像以上の落ち込みに集まった経済関係者は表情を曇らせた。

 日本銀行那覇支店が6日に発表した1月の主要ホテル客室稼働率は前年同月比5・1ポイント減の67・3%だったが、一部ホテルの足元の数値は急激に悪化している。県内の宿泊業関係者によると、那覇市内のあるホテルは3月の稼働率が30%台に落ち込む見通しで、宴会場、レストランの利用も減り、億単位の損失になる可能性があるという。

 那覇市西のロワジールホテル那覇は6日から別館の96室を臨時休館し、宿泊の対応は本館に統一した。再開時期は未定という。ホテルのレストランやバーも3カ所のうち2カ所を14日から臨時休業し、1カ所で対応する方針だ。稼働率は非公表としているが、新型コロナウイルスの影響で例年より大幅に減少しているという。状況が長引く場合、国の雇用調整助成金を活用してホテル従業員を休ませることも検討する。

 同ホテルの担当者は「厳しい状況にあるが、落ち着くまでは耐えるしかない。対策には万全を期しており、県民の皆さんにも県内旅行や食事、祝い事など可能な範囲で利用してほしい」と呼び掛けた。

 免税店やホテル経営などのアレキサンダー・アンド・サンが運営する那覇市港町のホテルアレキサンダーロイヤルリゾート沖縄は、新型コロナウイルスの感染拡大で宿泊者が激減し、2月12日から臨時休業に入った。同ホテルは中国をはじめとした外国人観光客が主なターゲットで、団体客の減少などが響いた。営業再開のめどは付いていないという。ホテル業界の関係者は、日韓関係の悪化による韓国客の減少に加え、年明け以降、中国客や台湾客まで減ったことで「しばらくは我慢できていたが、持たなかったのだろう」と推測した。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「これだけ厳しい状況は過去を振り返ってもなかなかない。夏以降や年末まで続くと、中小のホテルは休業、廃業に追い込まれかねない。今は一日も早い終息を願いたい。県民の皆さんもできることに取り組んでほしい」と要望した。
 (外間愛也)