ボクシング比嘉、具志堅会長に直談判するもかなわず… ジムとの契約解除に踏み切ったわけとは


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復帰戦で相手をコーナーに追い込み強烈なボディーで攻める比嘉大吾=2月13日、東京都の後楽園ホール(大城直也撮影)

 世界ボクシング評議会(WBC)元フライ級王者の比嘉大吾が白井・具志堅スポーツジムとの契約を解除した背景には、良好な関係が築けないジムを離れ、再び世界王者を目指す環境を再構築する意味がある。

 世界王者となり、減量が厳しいフライ級で短期間の防衛戦を2度勝ち抜いた比嘉だが、2018年4月の防衛戦を前にした計量失敗で、日本ボクシングコミッション(JBC)から活動停止処分を受けた。比嘉が慕っていた野木丈司トレーナーはジムを離れた。

 タイトルマッチに臨む比嘉の減量についてはパニック障害や脱水症状など、試合前にトラブルが多かった。そのため、2度目の防衛戦後、比嘉は階級を上げることを具志堅用高会長に直談判していたが、かなわなかったという。結果的に3度目の防衛戦で計量失敗を回避できなかった。

 活動停止処分中の比嘉は引退も考えてジムと距離を置いていたが、野木氏の励ましで、再びボクシングへの気持ちが高まってきたという。

 しかし、野木氏が去った白井・具志堅ジムで臨んだ2月13日の復帰戦、比嘉の体力低下は顕著だった。試合後、比嘉は「野木さんが(ジムに)いないわけですよ。練習内容も分かっているんすけど。(一緒に)4、5年やってきたので。でも自分(だけ)でやるのも限界あるし、俺、サボるの好きなのでケツたたかれないとできないんだなと思い知らされた」と、野木氏がいる環境を求めていた。

 その比嘉が、リング上で「モチベーションが上がらなかったら辞める」と語った要因にはジム側との関係にもある。世界王者になった約3年前から、試合に臨む環境や待遇を巡ってジム側と話し合ってきたが、比嘉の意向は実現せず、溝は残ったままだった。

 復帰戦においてもジム側と折り合いが付かない部分があり、新たな一歩を踏み出そうとする比嘉にとっては、全身全霊を懸けられる状況ではなかったという。

 ボクシング選手とジム側の契約は1~3年ごとに自動更新されるが、比嘉はジム側に契約更新拒絶通知書を提出し、11日までに受理されたという。