血統牛DNA不一致、発覚は全国で2例目 農水関係者に衝撃


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 【東京】日本有数の子牛繁殖産地である沖縄で発生した人気種雄牛を巡る「血統矛盾」に、「何も説明がない。なぜこうなっているのか」(自民党農業系議員)など東京の農林水産関係者にも驚きが広がった。新型コロナウイルスの感染拡大などに伴い子牛の取引価格の下落が見られる中で、「全国から沖縄に集まる子牛の購買者がどう受け止めるか。(価格下落など)どれだけ影響が出るのか分からない」とも語り、動向を注視している。

 農水省によると、DNAによる親子関係の不一致は昨年、宮城県でも発覚しており、全国で2例目となる。情報収集に乗り出しているが「まだ状況は分かっていない」と話す。

 現行の家畜改良増殖法は人工授精や受精卵の移植を行った時には、帳簿への記載や5年間の保存を求めている。違反した家畜人工授精師には最大20万円以下の罰則があり、子牛を購入した肥育農家から訴えられる可能性もある。

 人工授精師は国家資格だが、実際の判断は免許の許可権などを移譲されている県の判断になる。

 宮城県では30頭のDNA不一致が検査で発覚し、同県は昨年12月、交配した獣医師が提出した報告書に虚偽があったとして刑事告発した。

 政府は、人工授精用精液や受精卵の管理を厳格化する法改正について、今国会での法案成立を進めている最中だった。和牛の精液を保存しているストローに種牛の名前表示の義務化、人工授精師免許の欠格理由の厳格化などが柱で、DNAの不一致にも法改正で対応できると見られていた。