「子どもの魚離れ食い止めたい」 漁師の手作りごはんで知る魅力 毎月開催のみなとピクニックが好評


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大きな鍋で作った“うみんちゅ手作りごはん”を振る舞う(後列左から)神谷綾乃さん、神谷勇さん、前島義一さんと、ボランティアのメンバーら=読谷村都屋漁港

 【読谷】海に親しみ、新鮮な魚を食べる機会を増やしたい―。読谷村漁協青壮年部(前島義一部長)の魚食推進イベント「うみんちゅ みなとピクニック」が好評だ。2017年に始まって以来、ピクニックで振る舞われる“うみんちゅ手作りごはん”の食材を提供する賛同企業・個人が増え、内容も着実に進化している。昨年11月にあった県青壮年・女性漁業者交流大会で、前島部長が発表したピクニックの活動報告は県知事賞にも選ばれた。 (当銘千絵)

 毎月第3日曜日に都屋漁港で開催されるピクニック。村漁協の漁師・神谷勇さん(46)と綾乃さん(46)夫妻を中心に、「子どもの魚離れを食い止めたい」「地元の人にも気軽に漁港に遊びに来てほしい」という漁師らの思いから始まった。

 目玉は村内の企業や個人から寄付された食材や港で取れた鮮魚を使い、漁師自らが腕を振るった“うみんちゅ手作りごはん”。1食200円(高校生以下は無料)の破格の料金で味わえると、毎回村内外から多くの人が駆け付ける。

 ウミガメとの触れ合い体験や定置網漁体験、魚のつかみ取りも子どもたちに大人気だ。

 「食材も人材もボランティアで、補助金に頼らず開催できていることが自慢。僕たちも毎月楽しみにしている」と胸を張る前島部長。子どもたちにはピクニックを通して魚のおいしさを伝えるだけでなく、漁業への関心を高めてほしいと言い、「人材育成にもつながれば」と期待を寄せる。

 県水産海洋技術センターの加藤美奈子さんも「漁協の熱意や企業などとの協力体制は素晴らしい。読谷村以外でもこのような活動が広がれば喜ばれると思う」と評価した。

 糸満市から家族でピクニックを訪れた玉城絵里加さん(40)は「普段から栄養面を考えて子どもたちに魚を食べさせているが、外で食べる海鮮料理は格別」だと話す。

 箸を使って上手に食事をする娘の桜来(さくら)ちゃん(5)は「ボロボロジューシーが一番おいしかった」と笑みを浮かべた。