兄弟で使ったランドセルも“卒業” 思い出いっぱい「12年間ありがとう」


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
ボロボロになったランドセルに感謝する與那覇楓矢さん(右)と兄の柚士さん=8日、浦添市城間

 【浦添】思い出の詰まったランドセルさん、12年間ありがとう―。浦添市立浦城小学校6年の與那覇楓矢(ふうや)さん(12)は、兄の柚士(ゆいと)さん(19)=九州産業大学1年=が6年間使ったランドセルを譲り受け、さらに6年間使い続けた。表皮はあちこちが剝がれ、留め具も外れた。それでもビニールテープで補修し、「最後まで使う」。卒業式は18日。兄弟の成長を見守ってきたランドセルとも、もうすぐお別れだ。

 柚士さんが小学校に入学する時、母のさやかさん(40)のおなかの中には楓矢さんがいた。「弟が使うかもしれないから、ランドセルは大事に使ってね」。柚士さんは母の言い付けを守り、「びっくりするくらいきれい」(さやかさん)に使い切った。

 柚士さんの卒業から1年後、楓矢さんが入学の年を迎えた。母から「お兄ちゃんのランドセル使う?」と聞かれると、「いいよ」と即答。楓矢さんは兄が大好きで、机や体操着、笛までお下がりを使った。

 ランドセルには教科書、筆箱、さらに上履きまで詰め込み、いつもパンパンだった。1、2年前から皮が剝がれ始め、白い中綿も露出した。それでも楓矢さんはどこ吹く風。クラスメートが「ボロボロだな」と笑うと、「ボロボロだろ」と笑って答えた。

 今月2日、肩の部分の金具が外れ、ついに片方のひもで背負う形になった。先生から「(ボロボロになるまで使って)すごい」と褒められ、うれしかった。

 柚士さんは「ランドセルもすごいし、周囲の目を気にしなかった弟もすごい」。さやかさんは「12年間の思いが強すぎて、卒業後も捨てられない。思い出の品を入れて、一生置いておきたい」と笑顔。ランドセルを贈った祖母の信子さん(70)は「大事に使ってくれてうれしい。孫2人を育ててくれたカバンに感謝です」。楓矢さんも「ここまで耐えてくれて感謝の気持ち」とランドセルをさすった。

 18日の卒業式の日には家族全員で思い出の詰まったランドセルを囲み、記念写真を撮る予定だ。
 (真崎裕史)