辺野古決裁停止を却下 那覇地裁「緊急の必要性ない」


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 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を国土交通相が取り消した裁決は違法だとして、市民が国を相手に裁決の取り消しなどを求めた訴訟で、那覇地裁(平山馨裁判長)は19日、市民による判決が出る前の裁決効力停止の申し出を「裁決の効力を停止する緊急の必要性がない」として却下する決定をした。原告15人のうち、辺野古などに在住する4人は原告適格を認めた。

 那覇地裁の決定によると、原告のうち3人は新基地が完成すると騒音被害を受ける恐れがあり、もう1人は基地周辺の高さ制限に抵触する建物を所有しているため、米軍機事故の被害に遭う恐れがあると指摘。健康や生活に影響を受ける可能性があるとして原告適格を認めた。

 今後、大浦湾の軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更を沖縄防衛局が県に申請する必要があると考えられ、埋め立ての大部分を占める工事はまだ着手されていないと現状を示し「現時点で裁決の効力を停止する緊急の必要性はない」とした。

 原告団は同日、那覇市の沖縄弁護士会館で記者会見した。事務局次長の白充弁護士は「結論は遺憾だが、裁判所は軟弱地盤の存在を認め県知事の承認を受ける必要があることを示した」と一定の評価をした。

 判決は19日に予定されていたが、地裁が突然18日朝に期日取り消しを通知した。現段階で判決期日は不明。原告団は、最高裁で26日に判決が言い渡される「関与取り消し訴訟」の一部論点が市民訴訟にも関わっていると指摘。「仮に裁判官に何らかの圧力がかかり、判決日が取り消されたのであれば、裁判官の独立を害する」などと声明を発表した。