新型コロナウイルス感染症の影響でインバウンド(訪日外国人旅行者)を中心に観光客が急激に減少し、沖縄県内でエビ類など海産物の消費が鈍り競り価格が低下している。泊魚市場の2月の競り価格は、イセエビやセミエビなどのエビ類が1㌔当たりの単価で前年同月比31%減の4344・1円となった。ワタリガニを中心とするカニ類は同36・9%減の2056・4円、ヤコウガイなどの貝類は39・1%減の552・1円と落ち込んだ。
中国人観光客が好んで買い求めていたことから、イセエビなどの競り価格は近年、上昇していた。泊魚市場でイセエビ(赤)は、2011年に1㌔当たり3524円だった。14年に5618円まで上がり、以降は5千円前後を維持している。20年1月は5833円と好調だったが、新型コロナの影響で3月は3632円と大幅に下落した。
競り価格の低下は、漁師の収入に直結している。イセエビなどの漁が盛んな国頭漁業協同組合の担当者は「年末は1㌔当たり6千円だったが、今は1500~2千円くらい下がっている。質は例年と比べても遜色ない」と話す。イセエビは4月から7月末まで禁漁期になるため「禁漁中に価格が戻ってきてほしい」と願った。
多くの観光客が県産食材を求めて集まる第一牧志公設市場は、現在は閑散としている。売り上げ減少で休業する鮮魚店も目立つ。魚久鮮魚の嘉数健治さん(52)は「中国人はエビが好きで、少なくても1日に10匹は売れた。今は1日に1~2匹くらいで、売り上げもがくっと下がっている。何カ月もこんな状態だったら大変だ」とため息をついた。