「海外帰り」から感染拡大のリスクも 新型コロナ10代感染 1カ月発生がなかった沖縄が直面する現実


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 沖縄県内在住者で4人目となる新型コロナウイルスの感染が21日、確認された。感染は県内発生ではなく、スペインへの家族旅行中に10代女性が現地でうつったとみられる。県内では3例目の感染確認以降、約1カ月間発生していないが、国内・海外の感染拡大からいつでも外部からウイルスを持ち込んだり、持ち込まれたりする可能性を浮き彫りにした。

新型コロナウイルス感染が確認された10代女性について説明する県の砂川靖保健医療部長(中央)と平敷昭人県教育長(右端)=21日夜、県庁

 国の方針で、検疫強化対象地域からの帰国者は全員検査の対象になっていた。今回の事例では女性ら家族は帰国した直後、成田空港でウイルス検査を受け、結果が出るまで空港で待機要請を受けたにもかかわらず、沖縄に移動するという問題も発覚した。

 県保健医療部の砂川靖部長は「保健衛生を所管する立場からすると、待機要請に応じてほしかった。待機することで飛行機なども含め濃厚接触者が出ることもなかった。お願いベースだが来航者は感染拡大防止の観点から協力してほしい」と話した。

 さらに県が一斉休校措置を取った中で、高校生以下という10代女性を連れて家族が旅行に出掛けたことに、平敷昭人県教育長は「休校は感染拡大防止の措置。そのため外出を避けて基本的には自宅で過ごすよう指導していた。それに沿った形でないのは残念に思う」と指摘した。

 県立中部病院感染症内科の椎木創一医師は「個別の評価は難しい」とした上で「今回のことは意図せず無症状でも検査対象になった。世界でウイルスが混在する中で症状のあるなしに関わらず持ち込まれることが分かった。どこでうつるか、うつすか分からない。手指衛生に気を付けることの大切さを示した」と分析した。

 今回の事例の是非ではなく、感染症対策として「感染例が少ない沖縄と外部の状況が違うことを認識し、出掛けた先の状況をしっかり把握することが重要だ」と指摘した。人が集まる場所はリスクが高く、人が多く触れる場所も注意が必要として「自分を守る上での行動や健康管理に気を付けてほしい」と呼び掛けた。