【記者解説】双方一致し経営改善へ JAおきなわ再編


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 JAおきなわの店舗再編計画は、統廃合の対象店舗がある地域への説明を経た上での再提案で、経営管理委員会の全会一致を見た。地域の声に耳を傾けることに時間をかけたことで、農協の店舗が農業地域の生活を守る「命綱」となっている状況をJAと組合員で再確認し、双方一致して経営改善に向かうスタートラインに立った。

 マイナス金利の環境下で信用事業の収益が圧迫され、JAおきなわは経営改善が迫られている。3月末までにJA全中に経営改善計画を提出するよう求められていた。

 2月の経営管理委の会合で、JAおきなわ執行部は経費節減のため支店を統廃合する再編計画に理解を求めたが、委員からは「地域への説明が先だ」という指摘が相次いだ。

 3月の会合で承認を得るため役員が地域に出向いて説明し、当初は廃止や機能集約の対象だった店舗を存続させるなど、計画の一部修正もあった。JAおきなわ幹部は「実際に現地を訪れて、深刻の度合いに気付くことがあった」と語る。

 「よりそいプラザ」に機能縮小する本島北部の5店舗のうち、本部支店、国頭支店、大宜味支店、東支店は町村で唯一の支店であり、機能縮小に強い反対があった。黒字化が達成できれば5店舗の支店存続を認めることで、双方が妥協を図った格好だ。

 地元では今後の黒字転換のため、組合員だけでなく地域住民や行政にも支店の利用を呼び掛けていく方針だ。地域のライフラインを担う支店の維持には、行政も含めて地域全体で取り組む必要がある。

 JAは離島や過疎地の生活インフラを総合的に支える存在だ。高齢化や後継者不足が進み、農村地域自体の存続が危ぶまれている課題に、どう向き合うのか。経営改革の先にある農協本来の役割を明確にすることが、店舗再編を進める鍵となる。
 (石井恵理菜)