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新型コロナ「離島は安全」の情報拡散におびえる住民 石垣市長が体調不良者の来島自粛を要請

川平湾の美しい海を楽しむ観光客ら。団体客のキャンセルが相次いだ影響で、例年に比べ数は少ないという=3月30日、石垣市

 【石垣】新型コロナウイルスの感染確認が国内外で相次ぐ中、石垣島で多くの観光客が来島することによる感染発生への懸念が広がっている。世界的な流行を受け、海外などから感染が確認されていない石垣に行き先を変更したとみられる個人客の姿が3月、市内で目立ったためだ。31日には中山義隆市長が急きょ会見を開き、体調不良者の来島自粛などを呼び掛けた。新型コロナの影響で島の主要産業の観光は深刻な打撃を受ける中、個人客の増加は団体客の相次ぐキャンセルを埋めるほどではない。感染発生への不安と事業継続の危機のはざまで、観光従事者らは今後の動向に戦々恐々とする。

 複数の観光従事者によると、“安心感”から行き先を海外から石垣島に変更した学生や家族連れも多い。マスクを着用しない姿も目立つという。3月下旬に福岡県から友人と島を訪れた20代女性は「八重山では感染者がいなかったので不安はなく、楽しく過ごせた。逆に戻るのが怖い」と話した。

 中山市長は31日の会見で「会員制交流サイト(SNS)などで『南の島は安全だから』『休校になったのでコロナ避難』などの情報が拡散した」と指摘。観光客の来島に「平時であれば大変有り難いが、今は国難とも言える有事だと考えている」とした上で、体調不良者の来島自粛やマスク着用などを呼び掛けた。

 不安が広がるのは、島の医療資源が限られていることが背景にある。八重山全体でも感染症病床は県立八重山病院の3床しかなく、新型コロナ感染を調べるPCR検査も実施できない。

 八重山地区医師会の上原秀政会長は「無症状の感染者もいる。観光客を通じて感染が広がった場合、多くの医療機関に患者が殺到し医療崩壊につながる可能性もある」と危機感を示す。

 石垣の観光業界は「コロナバブル」と一部でささやかれもするが、川平湾で遊覧船を運航する事業者の担当者は「他の観光地より減っていないだけではないか。この時期の主な客層の団体客はほとんどキャンセル。例年より3~4割は落ち込んでいると思う」と話す。

 同じく遊覧船事業を営む川平マリンサービスでは3月の修学旅行だけで、13校約1750人分がキャンセルとなった。松原一代社長は「2月の休校要請以降にキャンセルが続いた。八重山で感染が広がるのも不安だ。観光客が来なくても大変だが、来ても大変だ」と複雑な表情を浮かべた。
 (大嶺雅俊)



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