【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、防衛省は1日、軟弱地盤の改良工事に向けて設置した有識者会議「技術検討会」の説明資料に20カ所のミスがあったと明らかにした。防衛省が1日にあった技術検討会第6回会合で修正内容を説明したが、委員長の清宮理早稲田大名誉教授は「これまでの議論に影響はない」と述べ、他の委員からも異論はなかったという。
技術検討会は昨年9月から今年3月までに5回開催されており、うち初回から4回目までの説明資料にミスが確認された。沖縄防衛局の委託業者が資料を精査した際に発覚し、護岸の安定性に関する数値の間違いや、計算結果が正しく反映されていない図表などがあった。
粘性土の強度を示すグラフにも修正箇所があった。防衛省の担当者は「強度の過大評価につながらないようにだ」と説明した。地盤改良や埋め立てに使う土砂の必要量も誤っていたが、全体の工程に影響はなく、調達可能であるとの調査結果も修正前後で変わらないという。
技術検討会に対し軟弱地盤の調査について質問状を送った立石雅昭新潟大名誉教授は「これまでの技術検討会では資料の誤記や整合性のない点なども見過ごされてきたということだ。私たちの調査団の指摘を受け改めて精査した結果、修正が必要と判断したのだろう。恣意(しい)性を感じる」と指摘した。
軟弱地盤の存在を沖縄防衛局への情報公開請求で明らかにした土木技師の北上田毅氏は「技術検討会がこれらの誤りについて指摘してこなかったということは、これまでの審議がいかにずさんだったかを示している」と述べた。