病院ベッドの確保と検査態勢拡充が急務 新型コロナ患者増受け課題に


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 沖縄県内で新型コロナウイルス感染者が5人と1日で最多を記録したことを受け、今後の患者急増に備え、病床数と検査態勢の拡充が課題となる。

 現在は陽性と判明すると「感染症指定医療機関」に入院する。県内の病床数は各地の県立病院と琉大病院の計24床。県内の感染者17人のうち4人は陰性が確認され入院勧告が解除された。13人は入院中か入院に向け調整中。県は指定医療機関のほか「協力医療機関」と合わせ計40床のベッドは確保できる見通しだとするが、患者数の推移によって流動的にならざるを得ない。

 さらに、病状が悪化し集中治療室(ICU)に移る必要性が生じた場合、隔離室のない大部屋タイプのICUだと感染症対策が不十分なため、コロナ感染者を受け入れると、それ以外の患者は受け入れられなくなる可能性もある。現在、南部地域で感染者が相次いでおり、県も南部地区の受け入れ体制について「かなり逼迫(ひっぱく)している」と危機感を募らせる。

 病床数確保に向け、医療機関の間では、一般病棟の一部をコロナ感染者専用にする案や指定医療機関に入院しているコロナ感染者以外の患者を協力医療機関や一般病院に転院させ、コロナ感染者の治療に集中して対応するなどの案が検討されている。さらに、国の通知を受け県も、軽症者や症状がない感染者は自宅やホテルで療養することが可能か対象施設の調査を始めた。PCR検査は現在、1日当たり最大38件可能だが、民間企業の協力などを得て80件まで増やし、休日なしで対応する方向だ。

 県立中部病院感染症内科の成田雅医師は「県立病院など指定医療機関だけで対応することは不可能だ。医療資源の役割分担を含め県の医療界全体で対応しなければならない局面に入った」と話す。県は5日専門家会議を開催する。