春季高校野球 4強決まる


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 高校野球の第67回県春季大会(県高野連主催、琉球新報社共催)第9日は4日、北谷町のアグレスタジアム北谷で準々決勝の2試合を行い、中部商が11年ぶり10度目、沖縄工が2年連続10度目の4強入りを果たし、夏の選手権沖縄大会のシード権を獲得した。中部商は第1シードの沖縄尚学を5-0で、沖縄工は糸満を3-0でいずれも零封した。5日は午前10時から、同スタジアムで北山-宮古、知念-日本ウェルネスの準々決勝を行い、4強全てが出そろう。


中部商 2投手継投で零封、雪辱果たす

中部商―沖縄尚学 8回裏2死二、三塁の好機に2点適時打を放つ中部商の山口慶十=4日、北谷町のアグレスタジアム北谷(喜瀬守昭撮影)

 第1シードの沖縄尚学を2投手で継投し、11年ぶりに4強入りした中部商のベンチは歓喜に沸いた。昨年の1年生大会でサヨナラ負けを喫した相手をゼロに抑えリベンジを果たした。

 3回戦に続き先発した前本琉翔が緩いカーブやスライダーの変化球を交え、六回までを被安打4、6奪三振の与四球2に抑えた。

 昨年の秋季大会覇者に「どこまで通用するのか」と不安もあったが、一回の沖尚の攻撃をゴロ、三振、フライの三者凡退で封じ「いける」と直感した。四回の1死満塁の場面は、ピッチャーゴロで併殺に仕留め、この日最大のピンチを脱した。「得点してくれる仲間もいたので思い切り投げられた」と自身の投球に手応えを感じた様子だ。

 攻めては一回裏の攻撃で、2番・仲程海琉が左翼への安打で出塁し、続く山口慶十の二塁打で走者をため、奥平響希の犠飛で先制し、渡久山夢斗の右への適時打で加点した。投手陣の力投も重なり勢いに乗ったまま、八回の攻撃に山口が2点適時打を放ち、押し出し四球で5点目を追加して勝利を決定的にした。

 11年ぶりのベスト4に奥田誠吾監督は「ナインにとっても特別な相手に勝てたことは自信になる」と球児たちの奮闘を笑顔でねぎらった。

(上江洲真梨子)


沖縄工 上原が好投、糸満打線を封じる

沖縄工―糸満 5回を被安打1、無失点の好投を見せて勝利に貢献した沖縄工の上原紳之祐=4日、北谷町のアグレスタジアム北谷(喜瀬守昭撮影)

 3試合連続で先発登板した左腕・上原紳之祐が準々決勝も五回までを1被安打2奪三振、与死四球3と好投し、糸満打線を封じた。

 一回裏に二つの死球で出塁を許し2死一、二塁のピンチを招いたが、糸満の5番・瑞慶覧長磨に投じた5球目は変化球でタイミングをずらしセカンドフライに打ち取った。その後もあまり直球の調子は上がらない中で「守備を信じ制球を意識して投げた」と、変化球を中心に打たせて取る投球で乗り切った。

 昨年の1年生大会で左肩を痛め、一時戦力から離脱したが、開幕直前で復調しベンチ入りした。左肩をかばいながらの冬のトレーニングは、シート練習や実戦形式の登板はなかったが、下半身や筋力の強化に重点を置き球威に磨きをかけた。

 上原の成長に知名淳監督は「大会で実戦を積むごとに良くなっている」と評価した。

 2年連続の4強入りにも油断はない。昨年は準決勝で沖縄水産に六回コールド負けした。知名監督は「4強以上の戦いは投手陣が鍵だ」と常々強調してきた。1番・國吉涼介や2番・田里王寿の高い出塁率に加え、3~5番のクリーンアップが安定し得点を重ねているだけに「上原が乗り切ればある程度抑えられる。次戦までに投手陣の調子を仕切り直す」と気を引き締めた。

(上江洲真梨子)