新型コロナウイルス感染症を巡り、県内最多となる5人の陽性判明から一夜明けた5日、県内の繁華街や大型商業施設、行楽地を訪れる人は以前よりも少なく、閑散としていた。「営業が厳しく、いつまで働けるのか」「仕方ない」。県民からは不安や悲痛、子をおもんぱかる声が聞こえた。
5日午後2時すぎ、沖縄一の繁華街、那覇市の国際通りは閑散としていた。新型コロナの騒動が起きる前は、すれ違う人と肩がぶつかりそうになるほど、にぎわいを見せていた。この日は1キロ先が見通せるほど、車も人も少なかった。
むつみ橋交差点につながる那覇市の市場本通り。シャッターを下ろしたままの店が普段より増えていた。4日に臨時休業を決めた第一牧志公設市場では、入り口のガラス戸から市場内をのぞき込む人もいた。近くで約40年暮らす田中幸雄さん(72)は店舗の軒下に置いたいすに座っていた。「人がいないと寂しいさ」と人もまばらな通りを見つめた。居酒屋で働く女性は「(客が来なくて)人員削減になるかもしれない。いつまで働けるのか」とため息を漏らした。
5日、糸満市の美々ビーチいとまんが海開きを迎えた。海水浴や散歩を楽しむ家族連れの姿があったが、管理事務所職員は「例年に比べるとかなり少ない」と表情を曇らせた。6歳の孫と散歩中の男性(63)=那覇市、自営業=は「海辺なら風通しがいいから心配は少ないかと思う。海開きにしては人が少ないね」と寂しそうにした。
那覇市の屋慶名夏織さん(34)は、名護市の自然動植物公園ネオパークオキナワを訪れ「家にこもっていると不安が増す。子どもを自然に触れさせたかった」と娘2人を見つめた。
中部の商業施設は駐車場の空きが目立った。客のほとんどがマスク姿で、昼食時にもかかわらずフードコートで食事をする人は少なかった。あるボウリング場では、4日の県内5人の陽性確認を受け、団体客が急きょキャンセルした。職員は「大変だが、しょうがない」と言葉少なだった。
米軍基地にも近い北谷町美浜のアメリカンビレッジでは、島袋善吉さん(68)が犬を連れて日課の散歩をしていた。「以前は外国人も多かった。今は全く人がいない」と語った。