発がん性などのリスクが指摘される有機フッ素化合物「PFOS」や「PFOA」が、北谷浄水場の水源から高濃度で検出されている問題で、県企業局は5日までに、汚染源とみられる米軍嘉手納基地に立ち入り調査を申請する方向で検討に入った。厚生労働省が4月1日付で水道水中のPFOSとPFOAの濃度に関する「暫定目標値」を新設したことを受けた対応。
企業局は2016年に北谷浄水場の水源である比謝川水系のPFOS汚染問題が発覚した際も、嘉手納基地に立ち入り調査を申請したが、米軍は日本国内にPFOSに関する水質基準がないことなどを理由に調査を拒否した。沖縄防衛局も嘉手納基地内の水質調査を米側に拒まれて調査を断念した。県は厚労省の暫定目標値設定を後ろ盾に、立ち入りを実現させたい考え。
一方、厚労省が設定した暫定目標値は法的拘束力のある「水質基準」とは異なるため、米側がこれを理由に拒むとの見方もある。在日米軍基地は日米地位協定に基づく「排他的管理権」が米側にあり、環境などに関する国内の規制も米軍には適用されない。米側が別の理由で立ち入りを拒む可能性もあり、申請に対する米側の対応は不透明だ。