余った牛乳、県が差額補填を検討 休校で再び消費減、加工工場もなく


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乳牛 イメージ(写真と本文は直接関係ありません)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、3月に続いて県内の多くの小中学校が臨時休校することを決め、学校給食用の牛乳が余る事態が想定される。余剰乳を加工乳製品用に出荷した場合の価格差について、県は独自の取り組みとして3月に発生した差額と、今後発生する余剰分の差額についても補塡(ほてん)を行うことを検討している。

 学校給食用の牛乳余剰は全国で問題となっており、農林水産省は需給緩和対策事業として、学校給食向けの生乳を長期間保存可能な脱脂粉乳などの用途に変更した場合に、農家に生じる乳価の差額を全額補塡する。だが、県内には脱脂粉乳にする工場がなく、ほとんどが加工乳用で代替するしかない。そのため国の事業の対象外となり、補塡がされない状況だった。

 県内では3月の臨時休校で生乳約500トンの余剰が発生し、加工乳として処理された。加工乳は生乳と違って安価なため、農家の収入に差額が生じた。

 県内で毎日生産される生乳の半分に相当する約30トンが、学校給食用の牛乳としてメーカーに販売されている。新年度に入っても約2週間の休校で学校給食の供給が当面止まる見通しとなり、再び牛乳が行き場を失うことになる。県畜産課は、国の支援策の対象から外れる県内農家が多いことから、臨時休校に伴う農家の手取り減少分について国の事業で補えない部分を支援する。