「このままでは多くの事業所が倒産する」 福祉事業所が利用者減、休校で長時間労働も


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特別支援学校に通う子どもたちが通う放課後等デイサービス。預かりのニーズは高い一方、利用者減少による収入減が続く=7日、本島中部

 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、県内でもデイサービスやリハビリを利用する人が減り、サービスを提供する福祉事業所に経営への危機感が広がっている。障がいのある人の日中の居場所として必要不可欠なサービスだが「このままでは多くの事業所が倒産する。特別措置が必要だ」と識者は指摘する。

 障害福祉サービスは利用者の人数、日数によって市町村から事業所に報酬が支払われる。障がいがある人には別の基礎疾患がある人も多く、感染リスクを避けて外出を控える人が出ているほか、外出を禁止する入所施設もある。

 特別支援学校に通う児童・生徒らを対象とする本島中部の放課後等デイサービスの事業所は、出勤前の親たちが連れてくる子どもたちを朝7時半ごろから預かる。預かりが必要な子が多い半面、施設入所者など3人ほどが来られなくなり、3月は50万円ほどの収入減となった。経営者は「続くときつい」と漏らした。

 休校のため通常は午後の放課後が中心となる預かり時間も朝からに延長。心疾患やぜんそくがある子どもが多く「通常以上に感染に神経を使う上、長時間勤務が続く。先の見通しも立たず職員は疲労がたまっている」と表情を曇らせた。

 別の放課後等デイサービスの職員は「ここしか頼れない人もいる。利用時間を短くするなどして何とか頑張っているが、職員の過労が気がかりだ」と話した。

 那覇市内で精神疾患のある成人にリハビリを行う事業所では、自分が感染するだけでなく周囲に感染させてしまうことを懸念し、利用を控える人が出ているという。

 一方、職員は幼稚園などが休園して子連れ出勤となり「利用者に満足に対応できない」と代表者。

 新型コロナ対応として休業時に職員の給与の一部を助成する制度はあるが「申請手続きが複雑な上、全額助成ではないため会社負担がかさむ」。借金を負うことになるため、貸し付け事業の利用もためらい、当面の活動休止を決めた。

 沖縄大学の島村聡教授(社会福祉)は「小規模事業所は利用者が数人減るだけでもダメージが大きい。職員の労働環境も心配だ。従来とは異なる報酬の仕組みが必要だ」と話した。