感染防止 苦渋の決断 市民、座り込み休止 「なぜ勝手に」一部反発


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間隔を開けて座り込みを続ける市民ら=15日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 新型コロナウイルスの感染拡大で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する市民らによる米軍キャンプ・シュワブゲート前での組織的な座り込みは、一時休止となった。座り込みは6年近く続くが、感染予防のために苦渋の決断をした。16日には受注業者の男性従業員の感染が明らかになり、沖縄防衛局が17日の工事を中断するなど、新型コロナの猛威は新基地建設にも影響している。

 ゲート前の座り込みには県内外から多くの人が足を運び、集団で抗議活動をするため感染のリスクも否定できない。県内でも新型コロナの感染者が増え県民の不安が高まる中、抗議活動への風当たりが強まる可能性もあった。

 基地建設を強行する政府へ抗議を続けることの重要性を認識しつつも、関係者は「もし集まっている人からクラスター(感染者集団)が出たら抗議行動は再起不能になる」と危機感を募らせる。

 4月に入ると、抗議行動への動員を休止する団体が出始めた。8日に開かれた「基地の県内移設に反対する県民会議」の会合では車両の窓を開けて送迎することや、機動隊に強制排除される前にゲート前から移動すること、マスク無しでは参加させないことが決まった。しかし、名護や石垣でも感染者が出たことで参加団体から「感染拡大が予想を上回るペースだ。とても防げない」「感染者が出たら誰が責任を取るのか」との声が強まった。オール沖縄会議は14日に、ゲート前の抗議活動の一時休止にかじを切った。

 一方で「なぜ勝手に休止を決めたのか」と反発の声もある。ゲート前には15日以降も、抗議をする人々の姿が見られた。市民の一人は「コロナは怖いが、国が工事を強行する限り足を運ばずにはいられない。基地に悩まされる沖縄だからこそ、声を上げ続けねばならない」と訴えた。
 (岩切美穂、吉田早希)