沖振法「前例踏襲では駄目」「地元潤う仕組みに」<県議選紙面座談会③沖振法の是非、北部基幹病院>


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 5月29日告示6月7日投開票の県議選に向け、琉球新報は県内7政党を対象に「紙面座談会」を実施した。出席者:島袋大氏(自民党県連幹事長)照屋大河氏(社民党県連委員長)鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)上原章氏(公明党県本幹事長)当山勝利氏(社大党副委員長)清水磨男氏(国民民主党県連代表)有田芳生氏(立憲民主党県連代表)

右上から左に、島袋大氏(自民党県連幹事長)照屋大河氏(社民党県連委員長)鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)上原章氏(公明党県本幹事長)当山勝利氏(社大党副委員長)清水磨男氏(国民民主党県連代表)有田芳生氏(立憲民主党県連代表)

【沖振法の是非】

前例踏襲では駄目 社民・照屋氏
地元潤う仕組みに 共産・鶴渕氏

―沖縄振興特別措置法が2021年度に期限切れとなる。同法延長の是非や経済的自立に向けた方策をどう考えるか。

 清水 民主党政権下で一括交付金制度を導入し、沖縄振興計画の策定を国から県に変更した。自公政権による同制度への反対や省庁の縦割り行政で、十分に効果が出ているか疑わしい。自由度の高い政策を実行できるよう、県には延長を求めてほしい。

 有田 依存型経済を脱却できていない中、延長はやむを得ない。ハード面では格差が是正されつつあるが、所得や雇用、教育環境などのソフト面はまだ差がある。自然や歴史を生かした観光産業や交通インフラの整備など、さまざまな施策に取り組む必要がある。

 島袋 沖縄振興計画により県の社会資本整備が進められ、経済成長が実現できたといえる。現在の振興計画に代わる新たな計画を早急に策定する必要があるが、玉城県政からビジョンが全く見えてこない。県民の未来を託すことに強い不安がある。

 照屋 延長は必要だろう。過重な基地負担や戦後処理、低所得、子どもの貧困問題など、課題は今なお山積している。一方で、「自立」を目標に掲げる以上、前例主義の延長論では駄目だ。検証を重ねた上で必要な立法措置を求めていくべきだ。

 鶴渕 延長は必要だ。公共事業を県外企業が受注し、利益が本土に流れる構造を地元企業が潤う仕組みに改善すべきだ。観光や情報産業のほか、地場産業や農水業を振興し、人材育成に重点を置くなど、足腰の強い経済をつくることで所得は向上するだろう。

 上原 県民所得が全国平均の7割という状況は変わっていない。県民生活の向上や県勢発展のため、新たな沖縄振興特別措置法の下で次期振興計画を策定すべきだ。新型コロナは観光産業の強みと弱点を明らかにした。ものづくりなど新たな産業振興が必要だ。

 当山 沖縄振興特別措置法により県内のインフラ整備は進んだ。今後は必要な制度を維持しつつ、ソフトウエア的な事業への支援が求められる。県のアジア経済戦略構想を推し進めながら、自立経済に向けた次期振興計画を立てる必要がある。


【北部基幹病院】

早期の設置が必要 社大・当山氏
具体的な設置案を 国民・清水氏

―北部基幹病院についての考えと玉城県政に求めることは何か。

 有田 翁長雄志前知事が医師不足の解消を目的に方針を打ち出した。北部住民の命を守る公的医療機関という位置付けの下、救急などの不採算医療が切り捨てられないよう制度設計し、早期の整備を求めていく。

 島袋 病院整備は北部住民にとって命に関わる喫緊の課題であり、速やかに統合計画を進めなくてはならない。しかし、玉城県政はこの問題を放置したままだ。住民の命を軽んじていると言わざるを得ない。

 照屋 早期の整備は急務だ。北部地域の安定した医療提供体制は持続可能な運営形態の確立により担保される。民間手法の導入で経営優先になり、不採算医療の縮小や雇用切り捨てがあっては本末転倒だ。

 鶴渕 北部地域の医師不足を解消し、安定的かつ効果的で地域完結型の医療提供体制を構築するため整備は必要だ。県は関係者間の合意形成に取り組み、早期の整備に向けて推し進めるべきだ。

 上原 北部市町村会と北部市町村議会議長会が早期の統合を求め、県に提出した意見書は極めて重い。玉城県政は一日も早い設置に向けて取り組むべきだ。党としても、整備の実現に全力を尽くす。

 当山 北部住民の命を守ることが最も重要だ。早期に設置しなければならない。また全県的な医療計画のほか、30、40年先を見据えた安心できる医療体制を維持するための制度設計が必要だ。

 清水 北部地域の安定した医療体制の確保、医師不足の解消のため、玉城県政の公約実現は必須だ。構想ではなく具体的な設置案を提示し、北部市町村に財政負担がかからない形での実現を求める。

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