「工事ただちに中止を」「返還のため移設を」<県議選紙面座談会①辺野古・普天間、県政評価、意義>


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 5月29日告示6月7日投開票の県議選に向け、琉球新報は県内7政党を対象に「紙面座談会」を実施した。出席者:島袋大氏(自民党県連幹事長)照屋大河氏(社民党県連委員長)鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)上原章氏(公明党県本幹事長)当山勝利氏(社大党副委員長)清水磨男氏(国民民主党県連代表)有田芳生氏(立憲民主党県連代表)

左上より右に、島袋大氏(自民党県連幹事長)照屋大河氏(社民党県連委員長)鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)上原章氏(公明党県本幹事長)当山勝利氏(社大党副委員長)清水磨男氏(国民民主党県連代表)有田芳生氏(立憲民主党県連代表)

【辺野古・普天間】

工事ただちに中止 立民・有田氏
返還のため移設を 自民・島袋氏

 

―米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題の解決策について、どう考えるか。

 鶴渕 県民投票で示された71・7%の新基地建設の埋め立て反対の圧倒的民意を否定し、新基地建設を強行する安倍政治は許されない。新基地建設は政府の試算で、あと12年、普天間基地の解決策にはならない。即時運用停止、閉鎖・撤去こそ唯一の解決策だ。

 上原 県の歴史や基地負担を考えれば、普天間飛行場の移設先は県外や国外が望ましい。国の安全保障は全国民で議論すべきだ。一方、法治国家である以上、法律や裁判の結果を尊重することも重要だ。オールオアナッシングでは解決できないこともある。

 当山 昨年実施された辺野古埋め立ての是非を問う県民投票で、7割以上の県民が反対の意思を示した。県民は、辺野古新基地建設に反対であることは明確で、日本政府はすぐに工事をやめるべきである。普天間飛行場は、即時閉鎖返還をすべきだ。

 清水 辺野古移設は断念すべきだ。海兵隊航空部隊の機能分散を進め、普天間飛行場の運用は即時停止する。これまで日米両国から抑止力の根拠などが具体的に一切説明されていないことをみても、米軍再編に合わせ縮小する海兵隊は県外、国外への移転を促す。

 有田 昨年2月の県民投票で辺野古移設に反対する民意が明確に表明された。辺野古埋め立て工事をただちに中止し、普天間基地の一日も早い返還を実現するため、米国と再交渉する必要がある。

 島袋 この問題の原点は「世界一危険」とも言われる普天間飛行場の危険性を除去することだ。過去には米軍ヘリが墜落する事故も起き、一日も早い返還は県民の悲願だ。実現のための具体的な方策は、現行案である辺野古移設より他にないのではないか。

 照屋 断固反対、絶対阻止の立場だ。数々の選挙や県民投票を通じ県内世論は反対で一貫している。国が民意無視で強行してくる限り(1)市民レベルの現場闘争(2)承認撤回や軟弱地盤など行政レベルの闘い(3)安倍政権打倒の国政レベルでの闘い―を同時に進める。


【県政評価】

諸課題に迅速対応 社大・当山氏
国と信頼構築必要 公明・上原氏

 

―玉城県政をどう評価するか。

 当山 辺野古新基地阻止のため政府と対峙(たいじ)し、首里城の早期復旧・復興、豚熱、新型コロナなど諸課題について迅速に対応しており高く評価する。

 清水 任期の半分も迎えない中、辺野古問題の判決、新型コロナ対策など難しい局面で困難な判断が続く。県民の立場からの政治を貫くことに期待する。

 有田 基地問題は対話による解決を求め対抗措置も取ってきた。対米交渉を引き続き強めるべきだ。豚熱や首里城再建、貧困対策への取り組みを評価する。

 島袋 新型コロナ対策では、県主催行事を巡り、対応が二転三転するなど危機管理能力が低い。政府と対立し一括交付金の大幅な減額を招いた。

 照屋 高く評価する。辺野古阻止、子どもの貧困解消など翁長県政を引き継ぎ独自色。首里城焼失や豚熱、新型コロナの非常事態にも迅速に対応している。

 鶴渕 新型コロナ対策172億の補正予算編成や新基地建設阻止へ揺るがぬ信念や、誰一人取り残さない沖縄らしい優しい社会づくりなど高く評価する。

 上原 基地問題で国と対立し最高裁で敗訴した。過重な基地負担の解決や沖縄振興は、国との信頼構築が必要だ。MICEの損害金など評価できない。


【意義・争点】

県政の中間テスト 社民・照屋氏
辺野古断念実現へ 国民・清水氏

 

―選挙の意義と争点は。

 島袋 県議選の焦点は自民・公明・保守中道の協力により与野党の逆転を実現するか否かにある。我が党は全選挙区に21人の公認・推薦候補を擁立しており、全員当選を期して総力を挙げて取り組む。

 照屋 一義的には地域の代表を選ぶ選挙だ。全県的には玉城デニー知事誕生から1年半余が経過した時点での選挙で、県政への中間テストと位置付ける。与党第一党として公認・推薦候補の全員当選を目指す。

 鶴渕 新型コロナ危機を乗り越え、命と暮らし、経済を守り、新基地ストップ、平和で誇り豊かな沖縄づくりを前進させる。玉城県政を支える共産党7人の全員勝利とオール沖縄の安定過半数を勝ち取る。

 上原 次の50年へ新たな展望を開く分水嶺となる。新型コロナの拡大防止、次期振興計画の策定、過重な基地負担、低い県民所得、遅れる自立経済など山積する課題解決のため、全力で政策を訴える。

 当山 故翁長雄志知事の遺志を引き継いだ玉城知事への評価が今回の選挙で示される重要な選挙だ。争点は辺野古新基地建設の是非であり与党過半数以上の維持のために公認、推薦候補の全員当選を目指す。

 清水 新型コロナから命と家計を守る。辺野古移設の断念を実現する。県と国、どちらに付く議員を選んでもらえるかが争点。県民の覚悟に寄り添い、国民民主推薦、支持の候補者当選に全力を尽くす。

 有田 玉城県政が発足して1年半。県民は新基地建設に反対の意思を示してきたが工事は止まらない。民意を示す選挙だ。コロナ対策や子どもの貧困などの課題に対し県民に寄り添った政策を掲げていく。

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