【単眼複眼】交付金活用可で判断 第2、第3弾も検討へ 沖縄県が休業要請


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県内事業者ら対する新たな支援策について説明する玉城デニー知事=22日午後、県庁

 新型コロナウイルスの県内での感染拡大を受け、玉城デニー知事が県内事業者へ休業要請に踏み切ったのは、政府が創設する1兆円の臨時交付金から休業への協力金などが支給できると判断したことが大きい。政府が16日に緊急事態宣言の対象を全国に拡大した直後の時点では、休業要請はしない考えだった。休業要請は補償とセットで実施する必要があり、多大な予算を要するからだ。

 政府は当初、臨時交付金を協力金や支援金に活用することを認めていなかったが、後に方針転換した。感染拡大防止を強く打ち出したい県にとっては渡りに船で、休業要請に踏み切る端緒となった。

 「国は都道府県に指示を含めて丸投げし、補償はしないという論理だ」。緊急事態宣言の対象が全国に拡大した17日、県幹部は不満を漏らした。緊急事態宣言に基づき都道府県知事は施設へ休業を要請できる。だがこの時点で政府は自治体に配分する臨時交付金を休業への協力金などに活用することは認めておらず、財源が厳しい県はちゅうちょしていた。

 一方、玉城知事が8日に来県自粛や県民に行動自粛を呼び掛けたこともあり、県経済は過去に例を見ないほど落ち込んだ。県などへ支援や補償を求める声が相次いでいた。県幹部は「県ができる範囲だけでもフォローが必要だ。とにかくダメージが大きい事業者を支援する」と危機感をあらわにし、既に確保している予備費で特に打撃の大きい飲食店へ緊急の現金給付を決めていた。

 全国知事会の要望を受けた政府は19日に方針転換し、協力金や支援金の財源として臨時交付金の活用を認めた。これが休業要請をちゅうちょしていた県へ後押しとなった。玉城知事は22日の会見で「ゴールデンウイークを控えた、さまざまな感染拡大防止に徹底的に取り組む。県民と事業者が一体となって取り組んでいくべきであろうとの強い思いだ」と休業要請の狙いを語った。

 県は国の補正予算成立を受け、5月の臨時議会に向けて協力金と支援金の補正予算を組む予定だ。現金給付は第2、第3弾の実施も検討する。ただ臨時交付金の支給額は6月に示される見通しで、協力金がいつ事業者の手元に届くのかは不透明だ。

 県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は「個人的にはあまり期待していない。スピード感もない。そこに頼っていると生きていけなくなる。打てる手は自分たちでやる必要がある。攻めの動きをやらないといけない」と述べた。
 (梅田正覚)

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