情報不足で事業者困惑 新型コロナ休業要請 県の説明 一部で混乱 協力金20万に不満の声も〈経済アングル2020〉


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新型コロナウイルス感染症の経済支援策について、事業者からの問い合わせに対応する県職員ら=23日午前、県庁8階の商工労働部産業政策課

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた県の休業要請を受けて、要請の対象となった遊興施設や商業施設の多くは23日、店内で客向けの掲示をするなど休業の準備を進めた。県は24日から5月6日まで全期間休業した事業者に対して協力金として20万円を支払う方針を示したが、現場からは協力金の額や対象業種の線引きなどに不満の声も上がっている。

 22日午後に玉城デニー知事が記者会見で休業要請の対象業種などを発表して以降、県には問い合わせが相次いでいる。一部では回答が二転三転し、情報不足に悩む事業者は戸惑いと不安を隠せない。

 対象問い合わせ

 那覇市若狭の古書店「ちはや書房」は、要請を受けて23日から店舗を休業し、通販のみとした。店主の櫻井伸浩さん(47)が県に休業要請の対象かどうかを問い合わせたところ、対応した職員からいったんは「店舗の床面積が規定以下なので要請対象ではない」と言われた。だが、電話を替わった別の職員からは「対象になる」と告げられた。櫻井さんは「休業して、後から協力金対象ではないと言われないか少し不安だ」と話した。

 県産業政策課によると、床面積が千平方メートル以上という面積要件のある商業施設などの場合、千平方メートル以下の施設であっても「協力金の対象になるかどうかは確定していないが、全期間休業すれば支給する方向で検討している」という。サービス業の経営者は、休業期間中の社員の給与として雇用調整助成金を受けるために沖縄労働局に相談した際、休業に入る前に従業員との間で休業協定書を締結することが必要だと知った。「23日のうちに締結しなくてはならないのに情報がなかった。国の制度とはいえ、県は22日に休業要請を発表した時に、必要な対応を全てまとめて周知するべきだ。民間企業とあまりにも温度差がある」と憤った。

 採算度外視

 休業要請は5月6日までの期間だが、本当にゴールデンウイーク明けに営業を再開できるのかという不安も大きい。那覇市久茂地のバーを経営する藤川将吾さん(39)は「24日から休業するが、本当に2週間で感染が収まって店を開けられるのかが見えない。1カ月、2カ月と長引けば閉店する店も出てくるだろう」と不安視した。

 20万円という協力金の額が低すぎるという声も多い。県遊技業協同組合によると、加盟する22法人が運営する県内の75ホールは24日までに全て休業する。ある企業の担当者は「休業中の損失は協力金ではとても穴埋めできない。採算を考えれば開けたいのはやまやまだが、感染を拡大してしまったら業界全体でイメージの低下は計り知れない」と胸の内を明かす。

 サービス業の経営者は、一定規模の企業にとっては休業中の家賃にも満たないとして「休業には賛成するが、従業員の生活を守ることはわれわれの責務だ。休業要請するなら最大限責任をとってほしい」と憤った。 (沖田有吾)