「困っている人に行き届けば」 ゆで卵、2万個無料で提供します


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ゆで卵約2万個を無料で提供する前田鶏卵の前田睦己社長=23日、那覇市港町の前田鶏卵

 前田鶏卵(沖縄県那覇市港町、前田睦己社長)は、新型コロナウイルスの影響による受注の減少で行き場を失った加工用の卵を、ゆで卵にして一般に無料提供している。沖縄県内菓子メーカーや飲食店からの注文が停止し、同社は加工用の卵約2万個の在庫を抱えている。外国人労働者に弁当を配っている飲食店や子ども食堂などにも卵を提供しており、前田社長は「困っている人に行き届けばいい」と語る。

 外出自粛に伴う家庭消費の高まりで、家庭で消費されるS~Lサイズの卵の需要は通常より10%伸びている。しかし、業務用の2Lサイズの卵は流通が滞り、注文は「ゼロに等しい」という。シーミー(清明祭)の需要が落ち込んだことで、かまぼこ店からの注文も激減した。

 5~6月は年間で卵の消費が低調な時期のため、前田社長は「先行きも消費は期待できない。このままだと廃棄になる」と懸念する。廃棄するぐらいならと思い立ち、ゆで卵にして無償で配ることにした。

 卵の受け取りは混雑を避けるため、事前電話が必要。人が密集しないよう、受取時間を調整する。卵一筋44年の前田社長は「一般の方でも気軽に来てほしい。栄養のあるゆで卵でおなかを満たしてコロナに勝とう」と話した。