新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、県が公共施設の利用制限や休業を要請した23日、対象事業者は戸惑いながらも、感染防止のために協力する姿勢を示した。取り組みは感染リスクとなる人と人との接触を減らし、感染拡大を収束させるためだ。措置期間となるこの2週間は正念場。県民一人一人の行動が鍵を握る。
<中部>公園遊具“相手”なく
【沖縄】普段は子どもたちの声でにぎわっている沖縄市の県立総合運動公園。11日からは遊具施設を使用禁止にし、現在は遊具の周りに網のロープを張り、入り口には日本語と英語表記の看板を立てて呼び掛けている。それでも、少数ながらロープを乗り越えて遊具を使用する人もいるという。同公園管理事務所の福島誠司所長(60)は「ルールを守ってほしい」と強調する。
県が外出自粛を呼び掛けているにもかかわらず、同公園に訪れる人は以前の2倍に増えた。コイに餌をあげたりピクニックを楽しんだりする親子の姿も見られた。「密集になるのは避けたい。普段は足を運んでほしいと呼び掛けているが、自粛期間中は、どうか控えてほしい」と語った。
<北部>対象外にも自粛広がる
【北部】北部地区の土産品店は、新型コロナの感染拡大に伴い、県の休業要請を受ける前から自主的に休む店がほとんどだった。名護市のナゴパイナップルパークは2週間前に休園を決めており、営業を自粛する動きは北部地域にも広がっている。
レストランや農産物の直売店が入る、名護市の羽地の駅。飲食店は休業要請の対象ではないが、県が出した外出自粛要請後の効果か、昼食時間にもかかわらず閑散とした様子だった。店員も客もマスクをつけ、他人との距離感に気を使っているようだった。
<那覇>「みんな無事で」常連客思いやる/ネットカフェ
那覇市安謝のインターネットカフェ「ネットアイランド安謝店」には港湾で働く人が仮眠を取ったり、昼食に訪れたりする人も多いが、臨時休業を決めた。23日午後5時すぎ、店の調理場の冷蔵庫には食材がほとんどなかった。店長の島由美子さん(51)は「誰にもあたれない」とやるせなさを口にする一方で「県民一体で協力して終息させないといけない」と前を向く。「みんな無事でいてほしい。また『おかえり』と言いたい」と常連客を思いやった。
那覇市樋川の「上地流空手道那覇南修武館」では窓や扉を全開にした道場で少人数の練習を続けてきたが、ついに休業を決めた。島袋春吉館長(64)は「ここで患者が出たら大変だ」と話し「終息したら、心を入れ替えて再開したい」と道場生に家で鍛錬に励むよう勧める。
<南部>27日から休業 協力金対象外/津嘉山自校「損害数百万」
「コロナから守っても、経営と職員の生活を十分守れるだろうか…」。23日、南風原町にある津嘉山自動車学校で、親川博校長は大きくため息をついた。
同自動車学校は新型コロナウイルス感染拡大による県の休業要請を受けて、27日から5月6日まで休業する。23日、教習生の待合室がある校舎では、ビニール製のカーテンの向こう側で、職員が忙しそうに電話をかけていた。
親川校長によると「特段の事情がある教習生への対応などで、最短でも27日からしか休業できない」という。「休業による損害は数百万円に上る。でも27日からの休業だと県の協力金支給対象にはならない。ふに落ちない」と肩を落とす。「頑張るのは当然だ。だがあまりにも終わりが見えない」と小さな声で話した。